第19回リーダーを目指す技術者倫理セミナー -どこまで安全を求めるか:安全社会と安心社会の選択-
2017年11月11日 | イノベーションセンター 技術と社会部門主催No.17-133
(技術と社会部門,イノベーションセンター 合同企画)
協賛(予定)日本技術士会,可視化情報学会,計測自動制御学会,自動車技術会,精密工学会,ターボ機械協会,日本計算工学会,日本航空宇宙学会,日本塑性加工学会,日本鋳造工学会,日本マリンエンジニアリング学会,日本ロボット学会,溶接学会,化学工学会,日本建築学会,土木学会,電気学会,日本化学会,電子情報通信学会,日本船舶海洋工学会,日本航海学会
開 催 日 2017年11月11日(土)10.00~17.00
今回のテーマおよび論点
「安全社会と安心社会の選択」
論語に、「子日わく、民は之に由らしむべし。之を知らしむべからず。」との記述がある。これによると、政府や自治体(為政者)の方針に国民や市民(公衆)を従わせればよく、内容は理解できないだろうから説明する必要はない、と解釈されている。しかし、現在は、情報公開の観点から、公衆に方針、施策を公開し、理解できないところは説明する、ことが必要である。
最近の例では、豊洲新市場の汚染問題がある。これは、建設に関しては、盛り土、地下空間、汚染に関してはベンゼン、ヒ素、シアン、環境基準、排水基準などの用語が使用され、専門家会議では、「完全に環境基準以下にすることは難しい。時間をかけて徐々に除去していく。」などとの説明がなされているが、公衆にどれほど理解されているか疑わしい。報告書は提出され、公開されているのだから、専門家会議は、きちんと説明していく必要がある。漏出した水から有害物質が検出されているが、市場で使用する水は水道水であるなど、安全性評価や漏洩対策などについて、わかりやすい説明がほしいところである。100%安全やゼロリスクは考えられないことなので、許容できる境界を説明すべきである。汚染の基準に関しても、地下水の基準には、排水基準と環境基準があり、環境基準は排水基準の10倍厳しいものである(排水基準の値は、環境基準の値の10倍)など、その説明も不十分と思われる。
また、都のホームページには、盛り土に関して、変更後も変更前の図が掲載されていた。行政部署間の情報伝達がうまくいっていないことも露見している。変更があった場合にも、正しい情報をすばやく公開すべきという認識が甘いようである。
他の例として、福島の放射線問題、BSE問題を取り上げ、
・技術者は公衆に対して、技術事項をどのように説明すれば「説明責任」を果たせるか。
・技術者として、どこまで安全を追求すれば、社会から安心を得られるか。
の点について皆さんと考えてみたい。
参加者の経験、知識に基づいた討論課題を考えており、グループ課題については配付資料に記載する。
セミナーでは,次の手順により議論を進める.
1.事前に配付された資料による自主学習
2.「テーマおよび論点」説明
3.グループ意見交換において,自分の意見を明らかにする
4.全体討論において自分の立場を明確にして議論する
事前に配付する資料を読んで頂いて,参加されることを前提とする.
プログラム
10.00~10.10/セミナーの趣旨説明,本日の進め方
横浜国立大学 大学院工学研究院 教授(主査)高田 一
10.10~11.00/安全社会と安心社会の選択についての概要
東京工業大学 イノベーションマネジメント研究科 特任教授 中村昌允
11.00~11.40/討議の趣旨,討議の進め方
オカダ・アソシエイション 技術士 岡田惠夫
11.40~14.00/グループワーク
・技術者は公衆に対して、技術事項をどのように説明すれば「説明責任」を果たせるか。
・技術者として、どこまで安全を追求すれば、社会から安心を得られるか。
14.00~17.00/技術者倫理に関する全体討論
明治大学 理工学部 准教授 村田良美
KoPEL 技術士 小西義昭
講師全員
司会 高田 一
定 員 30名,申込み先着順により定員になり次第締め切ります.