「よく分かる粘弾性力学」 ―設計・生産技術者のための基礎講座 第28回―
趣 旨 プラスチックなどの高分子材料の力学的特性や挙動は金属材料と異なり,変形速度や温度に依存して著しく変化することが知られています.例えば,低い温度では,一定負荷に対して金属の場合と同様に負荷に応じた変形が生じる,いわゆる弾性的な挙動を示したとしても,温度が上がると時間の経過とともに変形が進行するクリープ現象が現れます.この,いわゆる粘弾性材料の力学特性や挙動は,プラスチックだけではなく,それを母材とする繊維強化複合材料の他,ゴム,アスファルト,ガラスなどにおいても見られます.したがって,エンジニアにとって,このような粘弾性挙動を示す材料を使用するためには粘弾性力学の知識が必要不可欠なものであると言えます.
本講習会では,粘弾性力学の基礎から,特性係数の測定方法,その特性を利用した数値解析による応力解析などについて解説します.講師は現役の大学教員で材料力学関連科目を担当している方々です.大学の講義ほど十分な時間は取れませんので,この講習会がこの分野の学問を勉強するためのきっかけ(導入)となるように配慮しました.この分野の業務に携わっている技術者・研究者の方々はもちろん,学生の方々,粘弾性力学に関心のある方々の参加をお待ちしています.
題目・講師 (司会 坂井 建宣)
10.00–10.50/(1)粘弾性に関する基礎事項
線形粘弾性力学を理解するための基礎事項として,時間と温度に依存する力学挙動やそれらを表現する特性係数について説明する.
青山学院大学理工学部 教授 米山 聡
11.00–11.50/(2)線形粘弾性力学の基礎
線形粘弾性力学おける支配方程式について述べ,応力やひずみの解析方法について説明する.
青山学院大学理工学部 教授 米山 聡
13.00–13.50/(3)粘弾性特性の測定
粘弾性材料特性を評価するための試験方法や得られた特性係数の表現方法,さらにそれら特性係数の内部変換方法について説明する.
青山学院大学理工学部 教授 米山 聡
14.00–15.10/(4)粘弾性固体の数値解析
高分子材料・ガラス材料のモールドプレス成形に関し,粘弾性理論を用いた解析法について述べる.
名古屋大学工学研究科 教授 荒井政大
15.20–16.30/(5)複合材料の熱粘弾性解析
複合材料の熱粘弾性均質化解析,積層板の残留応力解析など,具体的な応用解析事例について述べる.
名古屋大学工学研究科 教授 荒井政大
定 員 60名,申込み先着順により定員になり次第締め切ります.
教 材 教材のみご希望の方には,1冊につき会員2 000円,会員外3 000円にて頒布いたしますので,以下URLよりお申し込み下さい.講習会終了後,在庫がある限り販売いたします.
https://www2.jsme.or.jp/fw/index.php?action=kousyu_index&gyojino=17-27&kazu1=0¥1=0&kazu2=1
その他 本講座では大学学部教養課程で修得する微分・積分に関する基礎知識を必要とします.また,演習の際に,べき乗や対数の計算ができる電卓が必要となる場合がありますのでご持参下さい.