「よく分かる破壊力学・弾性力学」 – 設計・生産技術者のための基礎講座 第27回 –
趣 旨 最近は3次元CADと有限要素法を組み合わせたCAEによって,機械・機器・装置の設計効率を高める試みが日常となりつつあります.このことは,一人のエンジニアに幅広い知識を要求することになり,その結果,材料の強度を専門としてこなかった設計者が強度についても検討しなければならない状況になっています.また,CAEはコンピュータを扱うことから,比較的若いエンジニアに託される傾向にありますが,機械工学という学問領域は多岐にわたるため,現在必要とされる知識が学生時代に修得したものと一致しない場合もあります.こうなると,独学でそれらの知識を修めなければなりません.特に有限要素解析においては情報を入力すれば必ず解が得られるという利便性がありますが,その解の妥当性を検討するためには材料力学,弾性力学や破壊力学等の知識が欠かせません.ちょっとした境界条件の相違で解が大きく変わることは,しばしば経験することです.つまり,これらの学問体系をある程度修得しておかなければ,知らないうちに設計ミスを犯す可能性を秘めているのです.
本講習会は独学でこれらの知識を習得しようと考えていたエンジニアの助けになるものです.講師は現役の大学教員で弾性力学の講義を担当している方と,破壊力学を多用する研究現場の一線で活躍されている方になります.大学の講義ほど十分な時間は取れませんので,この講習会がこの分野の学問を勉強するきっかけ(導入)となるように配慮しました.「学生時代に弾性力学は苦手だったけれど…」,「当時はいったい何の役に立つのか分からなかったけど,こんなことになるなら….」等,もう一度,破壊力学や弾性力学を勉強したい(しなければならない)エンジニアの方々のご参加をお待ちしています.
題目・講師 (司会 坂井 建宣)
10.00–10.50/(1)ひずみ
総和規約による諸量の記述法を説明した後に,ひずみの定義および適合条件について説明する.
大阪府立大学大学院工学研究科 准教授 石原正行
11.00–11.50/(2)応力・境界条件
応力の定義,応力のつり合い方程式,コーシーの関係について説明する.また,種々の境界条件について説明する.
大阪府立大学大学院工学研究科 准教授 石原正行
13.00–13.50/(3)構成方程式・平面問題
応力・ひずみ関係式(構成方程式)を説明する.また,応用上重要な平面問題(平面ひずみ・平面応力)を説明する.
大阪府立大学大学院工学研究科 准教授 石原正行
14.00–14.50/(4)応力拡大係数の求め方と使い方
破壊力学の必要性,応力拡大係数の正体や物理的な意味などについて解説し,応力拡大係数の算出方法,応力拡大係数を用いての評価方法について述べる.
物質・材料研究機構 主幹研究員 小熊 博幸
15.00-15.50/(5)破壊靭性とは
破壊靭性値の定義とその果たす役割,および様々な材料の破壊靭性値とその決定方法について述べる.
物質・材料研究機構 主幹研究員 小熊 博幸
16.00–16.50/(6)破壊力学による構造健全性評価
最終的に設計者に求められる構造物の健全性評価について,破壊力学を用いた手法を述べる.
物質・材料研究機構 主幹研究員 小熊 博幸
定 員 60名,申込み先着順により定員になり次第締め切ります.
教 材 教材のみご希望の方には,1冊につき会員2 000円,会員外3 000円にて頒布いたしますので,代金を添えてお申し込み下さい.講習会終了後発送いたします.なお,本講習会終了後は教材を販売いたしません.入手ご希望の方は本行事にご参加いただくか,または上記と同様の方法にて開催前に事前予約申込みをお願いいたします.
その他 本講座では大学学部教養課程で修得する微分・積分に関する基礎知識を必要とします.また,演習の際に,べき乗や対数の計算ができる電卓が必要となる場合がありますのでご持参下さい.