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振動診断Q&A(No.2011-01) |
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質問 |
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☆☆ HI規格 振動測定について ☆☆
アメリカの水中ポンプ試験にHI規格というものがあるのはご存知でしょうか。
American National Standard for Submersible Pump Tests Hydraulic Institute, Inc.
この規格の中に、振動測定の項があります。
この文章中、
11.6.8.3 Test procedure に、
『The unfiltered root-mean-square(rms) vibration〜』と記述されています。
判定値は、Figure 11.6.16A - Vibration limits (metric) を見ると、Vibration mm/s rms
- maximum unfiltered という単位のようです。
”フィルターを通さない振動速度の実行値”、ということのようですが、この解釈が上手く出来ないでいます。
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回答 |
『The unfiltered root-mean-square(rms) vibration〜』について
Unfilteredの意味は明確ではないですが、10〜1kHzの範囲でゲインが下がらずデータを採るようにすれば同義と考えます。
おっしゃられる様に、 ”フィルターを通さない振動速度の実効値”と考えてよいと思います。
この場合FFTによる測定を指しているのではなく、通常の振動指示計を使用して測定する。この時フィルター設定はしない(広帯域)でレンジは振動速度のrms表示とする。という事と解釈できます。
逆に周波数帯域を決めて判定する例が、カテVテキスト4章 4.4-(3)周波数帯域別のアラームおよびトリップの項にあります。
FFTを使用するとするなら、測定対象機器が発する周波数成分に対し、アンチエリアジングフィルタが影響しないように、すべての周波数をカバーする周波数帯域で測定し、オーバーオール表示をrmsで読むことになると思います。
振動速度センサの周波数範囲10〜数kHz程度かと思います。
FFTで測定した特定の周波数のピークの値を読んだ場合は、ピークの周波数成分のみの値となります。ピーク周波数だけを通過させる極狭帯域フィルターで測定したことになります。
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質問 |
@JIS B 0906 に、広帯域振動速度という言葉で、
特定の振動数成分を取り出すためのフィルターを通さずに測定される振動データ、という定義があるのですが、同じことでしょうか。
FFTで振動を測定する場合、必ずアンチエリアジングフィルターを通すので、何か別の方法で、フィルターを通さない振動測定をせよということなのでしょうか。 |
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回答 |
10〜1kHzまでの振動速度上の実効値
たとえば500HzまでのFFTを使用しないことを言っているだけです。卓越周波数成分があれば、下記で求められます。
(ISO10816-1) |
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質問 |
AFFTで振動測定することでよしとした場合、振動シビアリティーに同じく、10〜1kHz までの振動速度をオーバーオールで表した値を判定に用いるのでしょうか。 |
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回答 |
ISO10816では、上記の振動速度の実効値を判定に用いる。
FFTのオーバーオール(OA)はFFTの測定周波数範囲で測定されたすべてのピークの二乗和の平方根で求めた実効値の√2倍より計算上求めています。 |
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質問 |
B規格文章中、オーバーオールという記述は出てこないので、10〜1kHz の範囲で測定した振動速度のうち、ピーク値を判定に用いることは可能なのでしょうか。
(ただし、個人的には、FFTで測定した値のピーク値をとるということは、バンドエリミネートフィルターを通すこと=特定のフィルターを用いた振動測定に同義なのではないかなと思っているのですが、間違いでしょうか。) |
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回答 |
振動速度のうち、ピーク値を判定に用いるのは、軽微な異常が発生し始めた場合に、ピーク値の周波数以外の振動が大きくなり、状態が変化したことに気づかないので、好ましくないです。
FFTで測定した値のピーク値をとるということは、バンドパスフィルターを通す振動測定に同義です。 |
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質問 |
Cオーバーオール値を求める場合、適切な分解能を選ばなければ過大評価になるという指摘もあるようですが、ナイキストのサンプリング定理を満たした測定、もっと極端に言って、10〜1kHz までの周波数範囲で分解能1.25Hz であれば、オーバーオール値を求めることが過大評価とはならないと思うのですが、いかがでしょうか。 |
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回答 |
FFT のOAと振動計の指示の差について
指示計の方が若干高めに指示するという事例を聞いた事があります。
この事例ではFFTの周波数範囲や窓関数の影響が出ているものと考えられます。
まずは校正された振動計で測定し、判定を外れる等の異常振動の原因究明のためFFTで周波数分析されるスタンスの方が良いように思います。
尚、OAですが、計測器メーカーによってまちまちかも知れません。
仕様を確認することをお勧めします。
また、視点を変えてみると、
一般に、ポンプの試験の場合に、振動周波数の成分として考えられるのは、
@ポンプの据付け基礎構造部の固有振動数に起因する振動や、サージング、旋回失速など比較的に低い周波数の振動成分
Aポンプのアンバランスなどに起因する軸回転数の振動成分、ミスアライメントによる高調波成分、ポンプの羽枚数に起因する振動成分など
Bキャビテーションなどによる高い周波数の成分
このうちで、サージング、旋回失速、キャビテーションなどは異常振動として、運転条件を変更して振動を防止します。
これらを除いた振動成分について合成された振動が測定されるものと思われます。
これらの振動成分のどれかをフィルタで取り除くのではなくて、すべて含めて測定する意味で、unfiltered vibration、という言葉を使っているものと思われます。
デジタル処理を行っているFFTや振動計におけるアンチエリアジング・フィルタなどは、信号処理器に不可欠な固有の機能であって、機械振動の特定の成分をフィルタする目的のものではなく、unfiltered vibration、を損なうものではないものと考えられます。
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