■■ 特別講演Ⅰ (9月17日(水)16:10~17:10) ■■
講 師:北山 哲士 (金沢大学理工研究域・機械工学系 准教授)
題 目:『 逐次近似最適化の工学設計問題への適用 』
概 要:
多くの工学設計問題は、最適設計問題として定式化できます。特に日本の製造業では、企業の海外移転等により、いままで培ってきた技術伝承が困難な状況に直面しています。本講演では、応答曲面を用いた逐次近似最適化の簡単な歴史や適用事例等について簡単にご紹介させていただき、私たちの研究グループがこれまでに行ってきた塑性加工シミュレーションを用いた成形加工法やプラスチック射出成形への応用について事例をご紹介させていただき、最適化技術の技術伝承への可能性について述べさせていただきます。また、自動車業界で精力的に取り組まれているハイブリッドカーのエネルギマネジメント設計への応用についてもご紹介させていただきます。
■■ 特別講演Ⅱ (9月18日(木)11:10~12:10) ■■
講 師:福田 収一 (Stanford University/慶應義塾大学)
題 目:『 「なじむ」について考える』
概 要:
最近活発な製品多様化の議論の大部分は空間的多様化についてであり、時間的多様化はほとんど議論されていない。その理由は現在の製品設計が出荷時の製品価値を基盤にしているからである。しかし、最近は様々な分野で修理の重要性が増し、産業界もMRO (Maintenance, Repair, Operations)の重要性を認識し始めた。それに伴い取引も従来の一時価値基準から生涯価値 (Lifetime Value: LTV)基準のPerformance Based Contractingへと急速に移行しつつある。実際、身近な例では靴は履きならしたときに初めて自分の靴と感じ、違和感なく歩行を楽しめる。しかし、製品をいかに個別の顧客に馴染ませ、その状態を長く保つかはほとんど研究されていない。本講演では、各人のライフスタイルに素早く適応し、しかも長く楽しめる製品を設計するにはどうすればよいか、その将来像を考えてみたい。
■■ 特別講演Ⅲ (9月18日(木)16:40~17:40) ■■
講 師:木内 陽介 (徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部 顧問)
題 目:『 LED応用ライフイノベーション研究』
概 要:
徳島大学ではLED光の生命効果を利用し、ライフ分野での活用を目指して、全学連携で各種の応用研究が推進されている。 その背景に徳島県のLEDバレイ構想を基に推進されている「LEDバレイ徳島」がある。これはLED製造世界トップの企業が徳島に立地することを踏まえ、徳島地区にLED関連産業の集積化を目指しているもので、平成26年には117社の関連企業が集積されている。徳島大学は徳島県のLEDバレイ徳島と連携し、その発展に基礎分野からの支援に協力している。 さて、LEDを応用する現在の主産業は照明分野である。これはLEDの節電、長寿命、環境低負荷の特徴を生かしたもので、現在産業として成長中であるが、やがて飽和することが懸念されている。そこで徳島大学では次世代LED応用産業の創出に向けて、LEDをライフ分野で活用する「LED応用ライフイノベーション研究」に取り組み、将来的にLEDライフ産業を創出することを目指している。 この研究プロジェクトでは現在17課題の研究に医工連携、農工食連携で取り組んでいる。研究分野を大別すると下記の4分野になる。
1.医療分野-基礎、臨床-(12課題)
2.水産業分野(1課題)
3.農業分野(2課題)
4.デバイス、電源分野(2課題)
本講演では本学の「LED応用ライフイノベーション研究プロジェクト」の概要を紹介するとともに、幾つかの個々の課題について簡単に紹介する。
■■ 特別講演Ⅳ (9月18日(木)17:40~18:40) ■■
講 師:土井 利政 (㈱エクセディ 専務執行役員、元 ジヤトコ㈱ チーフ・テクノロジー・オフィサー)
題 目:『 自動車用トランスミッション開発における産官学連携について』
概 要:
自動車用トランスミッションでは、大きなイノベーションが起こり、AT、CVT、DCT及びハブリッド化に伴う新型トランスミッションの開発のよって、飛躍的な燃費や運転性の向上が進んでいる。自身が開発を率いたジヤトコは、CVTでは世界唯一のラインナップを持ち,海外生産をグローバルに展開する企業である。CVTは金属ベルトとプーリでシンプルな構造であるが、その中には機械力学、流体力学、熱力学だけでなく、化学系も含むトライポロジー、ソフトウェアによる制御工学、及び金属組織レベルの分析を行う材料工学など幅広い工学的知識によって成り立っている。ジヤトコにおいて、自身が長年取り組んだCVTの企画、開発、生産の開発プロセスを俯瞰すると、色々な場面で工学知識を用いた産官連携の成果を取り入れた開発の連続であった。今回、これらのCVT技術とその産学官連携による成果を報告する。