第95期会長就任のご挨拶
未来を織りなす機械学会
大島まり[東京大学 大学院情報学環/生産技術研究所 機械・生体部門 教授]
この度、日本機械学会第95期の会長を仰せつかりましたこと、大変光栄に思うとともに、身が引き締まる思いです。今年、日本機械学会は創立120周年を迎えます。本学会は120年の長い歴史を持ち、また、約35,000名の会員を擁する、伝統そして規模において我が国のみならず、世界的にも大きな役割を果たす学会です。今日の機械学会の礎を築き、発展へと導いてこられました歴代の会長、そして諸先輩方の業績を引き継ぎ、筆頭副会長、副会長、理事等の役員の方々、会員の皆様、そして事務局職員の皆様の協力のもと、さらなる発展を目指すべく全力を尽くして参ります。
第94期では、創立120周年の先を見据えて、本会の運営方針や活動等の見直しを図りました。急速な技術革新のなか、技術開発競争は熾烈さを増し、オープンサイエンス、オープンイノベーションが注目されています。今後、産官学の交流の場である学会が重要な役割を担うと考えられます。したがって、国際的な視野から学術界・産業界をリードし、今後ますます複雑化する社会の要請に応えることが期待されています。広範な分野を取り込み、イノベーションへとつなげていく横断的総合技術としての機械工学の強みを活かし、社会を変革し、人材育成に貢献していく所存です。第94期では、新生「日本機械学会」の10年ビジョン、そして、新ビジョンに向けた10年活動方針と具体的なアクションプランを策定いたしました。また、これらのアクションプランを着実に実現していくために、今期を含めて3年間に特に注力すべき活動を明確にし、中長期的な計画を検討しました。
創立120周年となる今期では、ビジョンとアクションを分析し、優先順位を明確にすることにより、以下の三つの運営方針を定めました。
* Inclusionによる活性化
* Integrationによる地盤強化
* Inspiration 夢を紡ぎ、未来を織りなす機械学会へ
混沌とした世界情勢、少子高齢化に直面している我が国の状況では、明るい将来を描きにくいです。「Inclusion」により、年齢、国籍、ジェンダーを越えた多様な人材を取り入れ、グローバルな視点での活性化を図っていきたいと考えております。
機械工学は、横断的総合技術として日本の産業を支える「モノつくり」の根幹をなしています。部門に代表される幅広く、かつ多岐にわたる学術領域、そして全国にわたる支部を通した強い連携により、リーディングソサエティとしての強い素地を有しています。「Integration」により、部門、支部の縦割りから、縦糸と横糸を織り交ぜた柔軟かつ強固な組織へと地盤強化を図ります。
そして、120周年から10年後を見据えて、本会の持つ様々な特長を織り交ぜながら、夢を形にし、社会をデザインしていく、その一歩が今期と考えています。「Inspiration」により、学術・産業をリードするトップランナーとして日本機械学会の役割を再認識し、夢を紡ぎ、未来を織りなす機械学会として、社会へのアピールを促進していきます。
取り組むべき課題は多いですが、今期は上記の3Iをキーワードに、会員の皆様にとって有意義な情報交換の交流の場となり、充実した活動を展開できる学会となるよう、努力していきたいと思います。
最後になりましたが、第94期岸本喜久雄会長をはじめ、前期の理事会、支部、部門、諸委員会の皆様の献身的な活動に心より感謝申し上げます。引き続き、第95期においても皆様のご支援を賜りますよう御願い申し上げます。
(2017年4月20日 定時社員総会あいさつより)