一般社団法人 The Japan Society of Mechanical Engineers

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会長就任のご挨拶

歴史は繰り返す!社会変革に貢献できる学会へ

2024年度(第102期)会長 山本 誠(東京理科大学)

 

日本は70~80年ごとに大きな社会変革を経験するという学説があり、70(80)年周期説と呼ばれています(賛否両論ありますが、、、)。太平洋戦争の終戦(1945年)、明治維新(1868年)、寛政の改革(1787年)、享保の改革(1716年)と並べてみると、確かに社会体制や経済の一大変革が70~80年ごとに繰り返されていることが分かります。また、社会変革の後には好景気が40年ほど続き、その後、20~30年の不景気な期間を経て、次の社会変革に至っています。歴史的に見れば、今年は太平洋戦争の終戦から79年目にあたり、約30年間(失われた30年)の不景気な期間を経て、正に社会変革の時期にあたります。情報化社会の到来によって世界規模の大きな社会変化が進行していますが、今後30年間は、SDGsはもとより、環境問題に対するカーボンニュートラルの実現、製造現場におけるデジタルツインや生成AIの活用、量子コンピュータの開発・導入といったデジタルトランスフォーメーションの実現、少子化など人財不足への対応など、日本社会の一層の変革が求められていることは会員諸氏のご存じの通りです。機械工学は社会の基盤を支えるとともに社会を豊かにするための学問ですので、機械工学の一層の発展がこれらの実現に必須であることは論を俟たないでしょう。また、日本機械学会は、その機械工学を支える基幹学会として、現在起きている、またこれから起きる社会変革への多大な貢献が期待されていると言えます。

さて、現在の日本機械学会の状況を俯瞰してみると、コロナ禍による出張旅費の削減や事務所移転の効果によって財政的には黒字体質に転換している一方で、あらゆる情報源がインターネットにシフトしたことや、情報化・財政健全化の流れの中で会員サービスが低下したことなどにより、会員(特に、若手企業会員)の減少が続いています。部門制が始まって30年が経過して各部門の対象とする技術が成熟するに伴い、新たなテーマが出にくくなっている(活動がマンネリ化した?)ことも影響しているように思われます。新部門制として、部門間連携を促していますが、その効果が顕著に現れてくるには、これからの新たな活性化策の推進と長い時間を要することでしょう。現在の社会変革に貢献するためには、これら本会が抱えている課題を克服し、より活力に富んだ学会活動を展開することが必要です。以上のような社会背景、本会の現状を鑑み、2024年度の運営方針を次の3点としました。

1 会員サービスの拡充による本会の価値向上と会員の活躍支援

2 分野連携による学術活動の更なる活性化

3 創立130周年に向けた本会の体質強靭化

具体的な取組の内容については、次項の「2024年度の取り組み方針」に詳述してありますので、ご一読いただければ幸いです。

最後に、会員の皆様は学会の存在意義をどのようにお考えでしょうか。情報を得るだけの存在であるならば、情報技術の発展によって学会の存在意義は失われると思います。しかし、人的ネットワークの構築、ボランティア活動を行うことによる一人の人間としての成長、講習会等への参加によるスキルアップなど、さまざまなメリットが学会活動を通じて得られることは間違いありません。会員諸氏の積極的な活動・参加を期待しております。