DME(ジメチルエーテル)燃料普及のための提言(2002年)
社団法人 日本機械学会
動力エネルギーシステム部門
第80期部門長 斎藤彬夫
DMEは天然ガスや石炭ガス等から合成され、ディーゼルエンジンやガスタービン等の燃料として利用できるとともに、民生用のLPガスの代替としても有用です。DMEにより、SOxをまったく発生せず、すすやNOxを大幅に抑制することができます。
製造面ではこれまで経済的に利用が難しかった中小の天然ガス田を活用でき、わが国のエネルギー戦略上重要な位置付けを得ると予想されます。
そこで、日本機械学会・動力エネルギーシステム部門ではDMEを将来有望な新エネルギーと考え、その普及促進に向け以下の提言をまとめることとしました。専門技術者集団として、この提言を広く関係各方面に呼びかけたいと存じます。
1. DME関連技術の短期・長期目標に基づく基礎研究、開発研究の戦略的推進と、産官学アライアンスによる競争力獲得
DMEはこれまでスプレー用噴射剤として小規模に生産されてきたが、今後燃料として利用するためには大量かつ経済的な生産技術の開発や原動機等での利用技術開発が必要である。普及に向け、まず当面の実用化に向けた技術開発から、将来の超クリーン、高効率なシステムの実現に向けた技術開発を産学官が連携し、戦略的にアプローチすることが肝要である。
2. DME品質を維持するための標準化、規格化の推進
DMEはディーゼルエンジン、ガスタービンエンジン、ボイラや民生用機器等幅広く利用されていくと考えられるが、これらに適合できるような性状、品質の確保は普及を促進する上で欠かすことができない。そのために、燃料としての標準や規格の整備が喫緊の課題となっている。
3. DME実用化を目指した流通インフラ等の環境整備や法体系整備
DMEは物性がLPGに似ているので、流通の考え方や、インフラはLPGのものが準用可能とされているが、DMEに関連した法規の整備や規制緩和が必要である。また、LPGよりも普及の範囲が拡大することが予想されるので、より扱いやすい方法の開発、法整備が望まれる。
以上