「会長談話」三菱自動車工業(株)関連の不祥事に関して
社団法人 日本機械学会 会長 長島 昭
三菱自動車工業(株)及び三菱ふそうトラック・バス(株)による今回の一連の不祥事は、社会倫理上も許されない問題であると同時に、これまで長年にわたり経済発展を支え、現在も堅実な努力を続けている機械技術・機械産業全体への信頼を損なうものと考える。日本機械学会は、学会倫理規定の制定や技術倫理教育に努力をしてきたところであるが、今回の事態が発生したことを憂慮し、誠に残念に思う。伝えられるところでは、同社の技術者は、早い時期より技術的問題について上層部へ報告し、解決努力していたとの報道もあり、これらの動きが経営配慮などに十分に反映されなかった点に、不祥事の深い根元と技術者のおかれた困難な状況が象徴されているとも考えられる。
日本機械学会は、事態の全容解明に,専門的立場からの技術的協力を惜しまないことはもちろんであるが、将来この種の不祥事が再び起こることがないよう、長期的な視点からも方策を考え、機械技術・機械産業の健全な発展と社会への貢献に全力を注ぐ。早急にこれらの対応のため緊急に検討グループを招集する予定である。
今後、産業の倫理規範の確立や普及、技術者教育における技術倫理の重視などにも、学会の立場から一層の努力を傾注してゆきたい。