書評(推薦図書) |
『日本の機械遺産』, 前田清志編著, オーム社出版局,ISBN4-274-02445-8 C3040 日本機械学会創立100周年(1997年)を記念して,機械記念物に関する調査が実施された. この年,アメリカ機械学会では,機械工学の文化財を「ランドマーク」として単行本(改訂版)を刊行しており, さらに,イギリス機械学会も創立150周年に当たることから「機械工学のアーカイブ」を刊行している. 本書は「日本の機械遺産」を記録に残すことを目的として編纂され,2000年12月25日に第1版第1刷が発行された. 全体は6つの章で構成されており,工作機械11台(第1章),機関車10台(第2章),動力機械9台(第3章), 交通機械8台(第4章),産業機械17台(第5章),精巧機械・その他9台(第6章)の計64台が機械遺産として選定された. 日本機械学会は創立110周年(2007年)に25件の機械遺産を認定した.さらに,120周年までに120件の機械遺産の認定を目標として機械遺産委員会が発足している. 機械学会が認定する「機械遺産」は本書の「機械遺産」と選定基準が異なるが,両方の機械遺産に選ばれた機械も複数あり, 今後も本書の機械遺産の中から日本機械学会が機械遺産として認定する機械が出てくることは間違いないと思われる. 本書は日本の繁栄をもたらした製造業を支えた機械とそれに関わった人々の歴史としても興味深く読むことができる. 巻末に掲載されている年表は機械技術の流れが良く分かるようにまとめられており,多くの方に読んでいただき, 日本で活躍した機械について知っていただきたい. (大久保 英敏(玉川大学))
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