活動報告
部門企画 「技術と社会部門」公開研究会・講演会

「技術と社会の関連を巡って:過去から未来を訪ねる]

 「技術と社会部門」企画,「日本設計工学会」共催の公開研究会・講演会「技術と社会の関連を巡って:過去から未来を訪ねる」が2005年12月10日(土)に明治大学駿河台校舎リバティタワーで開催されました.

 講演会では「技術教育・工学教育」に関して11講演,「設計教育・CAD教育」に関して17講演,「機械技術史・工学史」に関して3講演が行われました.

 また,特別講演Iとして吉田正秀氏(アイ・ピー・エックス(株))が「知的財産と旅」を,特別講演IIとして富田徹男氏(銀河内外特許事務所)が「酒・旅行・知的所有権(アフリカ紀行)」を講演しました.

 公開研究会「日本の伝統産業界の現状」では2つの講演が行われました.

* 1)公開研究会「ブルネリストのひろがりがつくるリエンジニアリング― ブルネルの生誕200年の年明け前に―」は,(1)模型展示、(2)講演、(3)総合討論の3つから構成され,興味深く,有益な展示と講演,そして討論が行われました.
(1) 模型展示では,千葉大学の佐藤建吉氏の講義「技術史研究」の受講学生制作による「ブルネルのGWR路線模型」(写真 1),千葉工業大学の白井靖幸研究室の卒業研究生による「ブルネルの大気圧鉄道模型」(写真 2),また千葉県の私立敬愛学園高等学校の3年生制作の「ブルネルのロイヤルアルバート橋模型」(写真 3)がそれぞれ展示されました.ブルネルの事績の拡がりをジオラマに重ねて体感することができるものでした.


写真 1


写真 2


写真 3

(2) 講演では,「鉄道における『ブルネル賞』について」と題して酒井敦司氏(JR東日本),「イギリスのシビルエンジニアから見たブルネル」と題して近藤邦弘氏(JR東海),「ブルネルからいま何を学ぶか」と題して北河大次郎氏(文化庁)が,それぞれご講演されました.意外と身近なブルネル賞の受賞作品やブルネルがイギリスで人気の理由,そしてエンジニアの意識やエンジニアの職分の違いなどについて知ることができ,これらを通じてブルネル観を広げることができました.
(3) 総合討論では,「ブルネルを超えるエンジニア像」がテーマでしたが,実務家としてのブルネルを引き合いに,日本の工学教育でも,現場主義や実習体験の重要性などが指摘されました.そうした意味で,生誕200年にあたる2006年は「ブルネル・イヤー」として展開すべきであると,まとめられました.
* 1):佐藤建吉(千葉大学)

      

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日本機械学会
技術と社会部門ニュースレターNo.16
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