トピックス(2004年度年次大会より)
ワークショップ「戦後の技術開発史を語る」,「産業考古学シリーズ 」

 去る2004年9月7日(火)の午後,北海道大学において開催された日本機械学会2004年度年次大会において当部門のワークショップ「戦後の技術開発史を語る」および「産業考古学シリーズ」が開催された.いずれも川上顕治郎氏(多摩美術大)の企画である.

 まず,「戦後の技術開発史を語る」では,(社)北海道農業機械工業会の村井信仁氏による「営農用トラクタ発達の系譜」と題した講演があった.農業機械はれっきとした機械であり,そのメーカに所属する会員も決して少なくないにもかかわらず,機械学会と「土」との結びつきが余り強くないからか,農業機械をキーワードとする行事は非常に少ない.本講演では,わが国の農業における機械化が本格化した第二次世界大戦後の営農用トラクタの発達の様子について,大規模農法が早くから取り入れられたご当地北海道を例に取り,社会の変遷や農業に対するニーズとの関連と絡め詳細に解説頂いた.

 次に,「産業考古学シリーズ」では,北海道札幌開成高校の山田大隆氏により「北海道のデンプン水車」と題する講演があった.北海道はご存知の通り馬鈴薯の産地であり,それを原料としたテンプン製造は幕末から普及し始めた.デンプンの製造方法は,馬鈴薯を洗浄し,砕いて細かくして水に入れ,沈殿したデンプンを乾燥させて製品にする,という比較的単純な方法であるが,長い歴史の中で独特の技術革新が進み,大量生産技術が確立していった.このデンプン製造に必要な動力源として,北海道では水車が多用され,ごく最近までかなりの量のデンプン製造動力用水車が活躍してきた.本講演では,北海道の主なデンプン産地と工場の紹介,ならびにそれらの工場における動力用水車の変遷について詳細に紹介頂いた.

 北海道ならではともいえる話題提供に興味を覚えた方が多かったせいか,いずれのワークショップも大勢の参加があり,大変盛況な会議であった.なお,本講演の概要は,日本機械学会2004年度年次大会講演資料集VOl.8,pp484-489にある.


ワークショップの風景
村井信仁氏
山田大隆氏
      

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日本機械学会
技術と社会部門ニュースレターNo.15
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