イブニングセミナー(第84回)

(技術と社会部門企画)


開 催 日: 2006年6月28日18:00〜20:00 (毎月最終水曜日開催)
会   場: 早稲田大学理工学部(大久保キャンバス)55号館S棟2階第3会議室
[東京都新宿区大久保 3-4-1/電話(03)5286-3000/JR「高田馬場」駅戸山口下車 徒歩12分,都バス「都立 障害者センター」下車徒歩1分,地下鉄東西線「高田馬場」駅下車徒歩12分] →大久保キャンパスの地図(早稲田大学のホームページ)
趣   旨:  技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も社会との深い関わりの中にあることは明らかである.我々が新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
テーマ
および講師:

テーマ:「(仮題)車椅子のために中国駆け回り15万キロ−私の上海工場奮戦記−」

2002年1月。中小企業総合事業団の相談会当日である。担当アドバイザーより詳細を聞き中国進出を即断、その場で現地調査の候補地推薦と先方へのアポイントを依頼した。同年3月、北京・上海近郊の候補地14箇所を10日余りで視察。5月、上海市金山区亭林鎮の標準工場の購入を決断、仮契約し帰国。6月活動開始。綿密な計画は逆に挫折感を増幅すると考え、詳細な計画書はあえて作成せずラフスケッチ程度とした。計画より理念優先主義。その理念とは以下の如し。
1.当社が蓄積したノウハウを活用し、低価格、高品質な福祉用具の提供ができる工場とする。現地での生産品は当面日本での販売が中心だが、近い将来急激な高齢化が予想される中国での販売も柱の一つに据える。中国の障害者の方々への貢献も重要な経営戦略。その後準じ、欧米等への展開も視野に。
2.現地工場を単なる低コスト工場、企業エゴ工場とせず、その国や地域に貢献できる企業を構築すべく努力する。設備・部材の調達については現地調達を原則とする。
3.機会損失を最大のリスクと考え、怠慢・優柔不断は断固排除して効率的に行動。細部に拘りすぎず生産の根幹構築を最優先する。

 いざ、活動開始。まずは政府への各種の許認可申請、さらに工場の内装、生産設備と部材調達のための活動とひっきりなしだ。機械設備は製品の質がピンキリで、日本のようなカタログ等による判断は危険である。結果は自己責任、必ず製造現場へ出かけ自らの目で確認し、納得の上購入する。
  部材調達は当社の場合、市販品の流用は皆無ですべてオーダー。それもスチール、アルミ、ステンレス、切削部品、鍛造部品、各種表面処理、樹脂成型、レザー、ウレタン等々と多岐に渡る。2000点以上の部品調達には膨大なエネルギーを要した。委託先はコストメリットを考慮し、あえて零細な企業を選定。経営指導、技術指導を徹底し、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を一から教え込んだ。
 評価基準は世界標準、その下には妥協は一切ないが、それでも不具合は頻発する。それらの解決には担当者の情熱、執念、根気以外にない。問題が発生したとき、口頭での苦情や指摘、指導では効果はない。まず行動である。製造現場へ赴き工程を綿密に検証、問題発生源を改善し標準化する。それでも解決できない場合には、より源流へと遡って検証を加えていく。
 自己完結型の企業はともかく、当社のように周辺産業から成る企業体の場合には、日本では考えられないような情熱と根気を必要とするのが中国。物への評価基準が全く違う。まさに手をとり足をとりの世界である。
 この7月で創業2年になるが、幸い今年は大幅な黒字化が見込め一安心。だが、より一層の躍進に向け、努力は日夜継続する。根気、情熱、執念。2年間の中国での走行距離は15万キロを突破した。


講師:松永茂之(鰹シ永製作所・代表取締役会長)

定   員: 40名
参 加 費: 会員1000円(学生員無料),非会員1500円(学生非会員500円)(当日会場にて受け付けます)
申込み方法: 「イブニングセミナー(第84回)申込み」と題記し,(1)会員資格(会員番号),(2)氏名,(3)勤務先・所属,(4)連絡先(郵便番号・住所・電話番号・E-mailアドレス)を明記の上,E-mailまたはFAXにて下記までお申し込みください.
なお,当日会場でも申込みを受付けます.
FAX送付先: (03)5360-3508(担当職員 加藤佐知子)E-mail:kato@jsme.or.jp
問合せ先: 〒150-8677 東京都渋谷区恵比寿2-27-10 日機装第2別館
日機装(株)流体技術カンパニー
 小西義昭
TEL:03-3443-3728  FAX:03-3444-2403
E-mail:y.konishi@nikkiso.co.jp

または,
東京都立航空高専
 吉田喜一
TEL:03-3801-0146 ex.544
E-mail:kyoshida@kouku-k.ac.jp

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