部門長挨拶
第89期部門長
緒方 正則
このたび副部門長 星 朗先生(一関工業高等専門学校),加藤義隆先生(大分大学)とともに2011年度の部門長を務めることになりました. 私事,2008年から機械遺産委員長,2010年に副部門長を務めましたが,経験も思慮も浅く,各位より叱咤激励をいただきまして部門の運営を進める所存です.各位より御教示を賜りますようよろしくお願い申し上げます.
さて,学会として間近の検討問題になりました3月11日の東日本大震災に関しまして,当部門はどのように関わり,かつ行動できるのか.当部門が果たすべき提案と行動が少しでも復旧・復興のお役に立てるよう,部門登録いただきました各位とともに運営を進めて行きたいと考えています.
震災に関しては,学会が3月に基本方針を立案され,4月27日の臨時部門協議会で主旨が開示され,ワーキンググループへの参加募集がありました.これを受けて,5月2日に部門インフォメーションメールで有志を募りましたところ,7名の有志の方々からお申し出をいただきました.技術と社会部門の名のとおり,将に社会との架け橋となる熱い心を示していただいたことは,たいへん有り難いことです.
次に,学会に20ある専門部会・5つの専門会議の中で,当部門は一般市民の方々と最も近い関係にあることから,これまで進めてこられてきた年次大会の市民開放行事をさらに充実化し,また,学会で好評のイブニングセミナーの一般への開放化および関東地区以外での開催,あるいは日本技術史教育学会(JSEHT)が千葉大学や福島県立相馬高校などで行っている出前講義などを企画し,幅広い年齢層から将来の学会員に迎えられる体制を作ることが必要と考えています.
恒例の行事として,年次大会におけるオーガナイズドセッションやワークショップがありますが,これらはどちらかというと学会での専門分野になります.しかるに,当部門には4研究会が設置されています.これらの研究会においては,各種行事や市民講座の積極的な開催を通して,また,各支部における部門活動の活性化を図り,各地区で開催される講演会に一般市民の方々も気楽に参加できるような仕組を創出することも懸案となります.いくつかの研究会では,すでにこのような主旨の基に活動を始めています.
また,当部門では2年ごとに経営と技術移転に関する国際会議ICBTTを開催しています.同会議には主として欧米日の参加者がほとんどを占めるため,他の国々からの参加を呼びかけることも必要であると考えます.現実に,先に述べたJSEHTでは,隔年で日中機械設計・機械技術史国際会議を8回開催されています.共催の中国機械工程学会(中国機械学会)には,技術史分組(研究会)があり,そこから委嘱されて中国機械遺産委員会が設置されていることから,他学協会の動向にも留意し,機械遺産認定の時流に乗り遅れない迅速な対応も必要となります.
最後に,本年度は第2回の部門評価が実施されることとなりました.第1回は2006年に実施され,評価の結果は苦慮すべきものでした.しかし,その後の中間審査では歴代部門長をはじめとする部門各位の御尽力により評価の向上を得ました.当部門は部門登録第1位が400であり,数千を超える第1位登録の部門と同一レベルかつハンディキャップなしで評価対象ポイントを計算する方式には,たいへん厳しいものを感じます.各位の御尽力により高められた部門評価が,今年度に元にもどらないよう,精一杯努力いたします.各位より深甚の御支援と御教示をいただきますよう,衷心よりお願い申し上げます.
(関西大学 システム理工学部 機械工学科 緒方正則)
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