大久保英敏
この度,第85期技術と社会部門長を仰せつかりました.今年は日本機械学会創設110周年の年に当たります.この記念すべき年を部門の節目の年として,吉田敬介(九州大学)副部門長,川森重弘(玉川大学)幹事とともに部門の活性化に努めてまいる所存ですので,よろしくお願い申し上げます.
活性化に向けて多くの課題があります.最も大きな課題はホームページの充実です.既にホームページを大幅に更新する作業を開始しておりますが,充実したホームページを作成するためには予算も必要です.次期の予算には,ホームページのための支出を組み込む予定です.部門の予算は限られていますので,予算の獲得も重要な課題です.今期は技術者倫理の教科書の作成,講習会を計画しています.
さて,1991年9月に日本機械学会の20番目の部門として発足した技術と社会部門は機械工学を基礎とした技術や機械工学と他の科学技術が融合して生まれた技術と我々が生きている社会との懸け橋となる活動を行っていると理解しております.部門の歴史を振り返りますと,部門の発足から7つの研究会が設置される1997年までを基礎作りの期間,1997年から昨年までを基礎固めの期間であったと考えることができます.今期は,これまでの活動を否定し,壊すのではなく,昨年までを基礎作り・基礎固めの期間と考え,今年を更なる発展に向けてのスタートの年と位置付けることに致しました.今後は活動範囲を広げ,社会に向けた活動を積極的に行う必要があると考えます.
部門活動の反省点として,地域・支部における活動が十分に行われてこなかったことが挙げられます.この原因として,関東地区中心の部門運営であったことが大きな反省点として出てきました.この反省から,「地方への拡大」を図ることに致しました.活動の拠点として挙げられた地区は,1.北海道,2.東北,3.関東,4.北陸,5.東海,6.関西,7.中国・四国,8.九州の8地区です.
部門活性化に関しては,前部門長の村田良美先生が繰り返しその重要性を説明されて来られましたので,これまで築き上げてきたものを基礎とし,部門の発展に向けての活動を開始することができました.今年から,「機械遺産」の認定事業を学会から引き継ぎ,貴重な機械遺産の認定と後世への継承に取り組むことになりました.この事業を部門活動の新たな柱とするために,「機械遺産委員会」を設置し,活動を開始しています.今後は,部門の得意分野である出版活動も行っていく予定です.この他,ICBTT(International Conference on Business and Technology Transfer)と題して隔年で開催している国際会議は,2008年度に4回目となる会議を海外で実施するための準備が進んでいます.部門所属のブルネル研究会が主催している国際会議も今後定期的に実施することも確認しました.さらに,英文ジャーナル(電子版)の創刊を実現することも検討を進めている段階です.
技術と社会部門は「工学教育・技術教育」,「技術史・工学史」,「技術者倫理」の3つの柱を中心に活動を行ってきましたが,「更なる発展」のためには,これらの柱を発展させ,社会に向けて発信することも重要です.会員の皆様には部門の活性化のために今まで以上の積極的な参加をお願い申し上げます.