渡邉辰郎
日本機械学会には「基礎工学分野」,「応用分野」の19部門と,「共通分野」である技術と社会部門がある.別な見方をすると,命題がはっきりしている部門と,人の社会活動に絡み,命題以前の価値観そのものを創り出す部門からなると言っても良い.従って部門のキーワードには,技術教育,技術史,技術者倫理,知的財産権等のように人間および社会に直接関連するものが多い.特に教育,歴史において広い活動実績がある。 昨年は部門の中に「技術・工学教育委員会」「技術倫理委員会」「技術史・工学史委員会」「知的財産権委員会」の4専門委員会を設け、今期は部門宛提案・課題・宿題の窓口(総務的立場)として「技術と社会問題委員会」を設置、機械記念物の評価、顕彰の答申が出来る「機械記念物委員会」の設置の準備を進めています。部門の活動および成果を広く、多くの学会会員にお伝えするために、部門の広報委員会より独立して、ホームページの充実と速報性を求めて、新たに「ホームページ委員会」を設置した。これにより、部門の活動がより、多くの会員各位に伝わり、協賛、参加につながるようにしたい。 部門を越えた活動、学会の中でのポジションと存在価値を示し示して行きたいと考えている。その活動目標の第一は他部門との連携、あるいは他学協会との連携である。また、小中高を含む教育機関との連携も視野に入っている。具体的には、年次大会で、多くの部門の共催フォーラムを実施する。また、他学会との連携も進み、本年度の部門講演会では共催の講演会を開催する。第2は新たな研究会を起こし、時代の要請に即した活動を起こすことを目標としたいと考えている。 部門の内部活動についても見直しを考え、実行に移す準備をしている。第1は専門委員会、研究会の活動支援である。過年前、部門財政難に伴い中止をした活動経費の復活である。無論、今でも部門の財政は潤沢ではないが、些少の通信費等の支出できるよう努力をしたい。第2は表彰規定の見直しである。部門活動を通じて、学会の表彰規定に当てはまらない、顕彰対象があり、部門独自の表彰が出来ないか、検討を始めた。ただし、学会内の部門であるので、学会のコンセンサスを得たものである必要があり、今後の議論を重ねて進めたいと準備をしている。第3は部門アーカイブの整理である。1987年部門制移行に伴い、部門が発足して以来、多くの活動をしているが、人的資源の移動に伴い、情報が正確に伝わっていないことが出てきた。部門アーカイブを整理、保管のシステムを作り、次世代につたえる準備を始めたく、今期よりの活動を目指している。第4は部門の学術活動に伴う査読付き論文集の発行である。前部門長小西義昭氏の挨拶の中でもありましたが、共通部門とはいえ、現在の学会論文集の範疇に入りにくいテーマが多く、今まで論文集に掲載された関係論文非常に少ない。これらを解決しないと、部門の活動の限界を示すことになり、これらの解決の一助となるべく、今期年次大会でフォーラムを開催し、問題提起を行うことを目指しています。 今までの部門長挨拶の格調の高い、部門全体に渡る提言では無く、部門の直面している課題についての提案を示し、実行可能な提言をしました。皆様のご協力宜しくお願いいたします。