2004年度部門賞および部門一般表彰報告
 
 技術と社会部門では,部門に関連する研究と活動の進展を促進するために, 部門賞および部門一般表彰を設けています. 2004年度の部門賞および部門一般表彰につきましては,会員の皆様からの推薦をもとに, 第83期表彰委員会[委員長:小西義昭 ((株)日機装)]で審議・選考され, 2005年4月の部門運営委員会において決定されました.受賞者,表彰者は以下の方々です.
 なお,贈賞・表彰式は2005年度 日本機械学会年次大会の「技術と社会部門同好会(電気通信大学, 平成17年9月19日(月))」の席上にて行われました.

(株)日機装 小西義昭

1.部門賞

部門功績賞: 吉田喜一(東京都立航空工業高等専門学校 教授)

[贈賞理由]
  吉田喜一氏は荒川区を中心に地域と学会をつなぐコーディネート役を長年にわたって,しかも小学生から大人までの広い領域において行ってきた.

  1. 小学生にペットボトルロケットを通して技術に興味を持たせた.
  2. 中学生ロボコンを,高専の学生を通して指導,ものつくり教育を実施した.
  3. 千葉商大の文系の学生に「現代技術論」で技術に関する教育を行った.
  4. 荒川区の中小企業にATN荒川テクノネットワークとして産学公の連携を図った.
  5. 高専のOB,OG をHNKヒューマンネットワーク高専で組織化し,コーディネートを実施した.
  6. NHK高専ロボコンの競技委員として,ルールつくり,審判指導を行ってきた.
 これらのことは技術と社会部門の学術および地域交流における頭著な功績であり,部門功績賞に相当する.

 

2.部門一般表彰

優秀講演論文表彰: 富田徹男(銀河内外特許事務所 弁理士)

対象講演論文:

「東南アジア・中国の技術レベルの測定−内国民特許出願による分析−」
(日本機械学会2004年度年次大会講演論文集(I))

[表彰理由]
 2004.12.11の技術と社会部門講演会において発表した「東南アジア・中国の技術レベルの測定−内国民特許出願による分析−」では, 発展途上国においてようやく開始された特許出願の分析を行なうことにより,特許の実情を報告している.
富田氏は東南アジア4カ国の国内出願7875 件について解析を行ない,農水産,機械,繊維,化学, 電気,日常品の分野に分けて日本の1900年までの特許出願と比較している. さらに出願人の地理的分布からその国の技術レベルの分布を推定している.
 このような特許を通して技術レベルを推定するという研究は,データの入手の困難性と表記言語の翻訳の難度等と相まって, かつて類が無い.さらに東南アジアの国の技術レベルの分布の評価はそのまま, その各々の国自身の技術評価に協力することにもなる.
 新分野を開いた研究であり,国際的に評価が出来る研究でもある.よって優秀講演論文表彰に相当する.