2001年度部門賞および部門一般表彰報告

 技術と社会部門では,部門に関連する研究と活動の進展を促進するために, 部門賞および部門一般表彰を設けています.2001年度の部門賞および部門一般表彰につきましては,会員の皆様からの推薦をもとに,第79期表彰委員会[委員長:小澤 守 (関西大学)]で審議・選考され,本年4月の部門運営委員会において決定されました.受賞者,表彰者は以下の方々です.
 なお,贈賞・表彰式は2002年度 日本機械学会年次大会の「技術と社会部門同好会(東京大学,平成14年9月25日(水))」の席上にて行われました.

(明治大学 村田良美)

1.部門賞

部門功績賞:札野 順(金沢工業大学)

 札野順氏は,本部門創設当初から設置された,「工学倫理研究会」および同研究会を発展させた「工学倫理研究分科会」の幹事として活躍され,本学会内に技術者倫理研究の組織的基礎を築いた.また学会の倫理綱領ワーキンググループの委員として,学会倫理規程の原案作成ならびに倫理規定を中心とした倫理プログラムの作成に貢献した.さらに氏は,年次大会における技術倫理をテーマとするワークショップ等の企画を通じて,技術者倫理研究の活性化にも貢献している.

 

2.部門一般表彰

優秀講演論文表彰:大川時夫氏(職業能力開発総合大学校 名誉教授)

対象講演論文:

「職人・職工・徒弟をめぐる価値評価について」(1999年度年次大会講演論文集(X),432-433) および一連の研究

 大川時夫氏は,職業能力開発の現場で,長年にわたり指導員や学生を指導してきた経験から,技術・技能教育の基本が,「ものづくり」による「生産実習」にあることを,事例を挙げ強調してきた.表彰対象とした論文では,「ものづくり」を実際に担う人の育成過程を明治期から再考し,彼らがいかに育成され,結果としてどのような社会的評価と地位を得たかについて述べている.氏の研究から,生産が人の技術・技能と創造性・感性に大きく依存することについて,貴重な示唆を得ることができる.