TRANSPORTATION AND LOGISTICS DIVISION
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自動車の運動性能は,新入社員の方や大学の研究室でこの分野の研究を始めることになった学生の方にとって取っつき難い分野だと言われています.その理由の一つは,基礎となる運動力学の講義が行われている大学が少ないので,基礎的事項を理解しないまま,いきなり実務を行わなければならない方が多いためと推察されます.外国語学習にたとえれば,基礎文法を習わないまま,急に会話をしなければならないような状況にあるわけです.
本講習会は,東京近郊の大学で自動車の運動力学関連の講義を行っている教員が結集して,1日という限られた時間のなかで,教育経験豊かな講師が運動力学の勘所を丁寧にわかり易く解説することを意図して,2000年5月に東京で始めました.今年で6年目を迎える本講習会は,幸いにも例年多数の方のご参加とご好評をいただくことができ,昨年までにのべ1000名を超える受講生の方に聴講していただいたことになります.また,各講師が説明する項目を毎年巡回させていますので,この講習会にすでに参加したことがあるリピータの方にも,同じ基礎項目を異なった説明によりさらなる理解を深めるという意味で,きっとご満足いただける内容になっていると存じます.
本講習会で受講対象と想定している方は:
・卒論,修論で自動車運動関係のテーマを研究する学生の方
・自動車関係の会社で運動性能,シャシー関連の設計,開発,試験,研究を行っておられる企業の方
・自動車の技術関連分野に関わっているが運動力学に関する体系的な学習をされたことが無い方
・機械工学の応用として自動車のことを勉強したい,高専5年生や大学3年生以上の方
・制御対象,解析対象として新たに車両運動分野を考えているなど他分野の大学院生,研究者の方
このような方々です.
講義を行うにあたって前提としている知識は:
・大学理工系の初年度で習う数学と力学
・大学機械系専門科目で習う振動工学,制御工学の基礎的事項
を想定しています.
今年度からは,より多くの方に,またより広範囲の方にこの講習会を聞いていただきたいと考え,会場を東京と京都との二箇所に設定致しました.貴重な休日にも関わらずわざわざ本講習会にご参加くださった受講者の皆様にとって,自動車の運動力学理解の,また自動車の運動性能に関する興味の,さらにはこの分野を今後発展させていただく動機の,もし本日の講習会が,このようなことへの契機となることができるのであれば,自動車の運動力学の教育研究を長年にわたって続けてきた講師一同にとって,これに優る喜びはありません.
2005年春(「自動車の運動力学」2005年版,前書きより)
2002年より年1~2回開催しております。
最新の開催情報は「イベント」メニューからご確認ください
本会における過去の開催実績はこちらからご覧ください。
(2005年作成、2022年一部修正)
Q.受講について
Q1.どういう方が受講していますか?
A1.(2005年東京会場アンケート結果,回収率75%から)学生,社会人は約半々,学生は学部4年,修士1年,修士2年が多い(この3学年で学生の四分の三),社会人は勤続5年程度までの方が多い(社会人の半分),という割合ですが,これ以外の方もかなりおられ,バラエティに富んでいます.
Q2.どういう会社,大学の方が受講しているのですか?
A2.(申込際の所属欄から)2005年の聴講者の組織別リストは下記の通りです.ただし,所属未記入の方東京会場6名,京都会場7名がおられます.また,所属が大学の方のほとんどは学生の方ですが,教員の方も含まれています.
(東京会場)44 日本大学,17 日立製作所,16 東京大学,12 東京農工大学,8 日産自動車,8 神奈川工科大学,7 トヨタ自動車,7 本田技術研究所,5 明治大学,5 首都大学東京,5 芝浦工業大学,4 ブリヂストン,3 特許庁,いすゞ自動車,慶応義塾大学,金沢工業大学,横浜国立大学,2 防衛庁,石川島播磨重工業,中央図研,横浜ゴム,ヤマハ発動機,,マツダ,日本自動車部品総合研究所,防衛大学校,東京理科大学,1 富山県工業技術センター,神奈川県警,茨城県警,明電舎,THK,,TNO-Automotiveジャパン,アルテアエンジニアリング,大東機械,,コンビ,テラサービス,三菱ふそうトラック・バス,三菱自動車工業,,日信工業,日本精工,玉川大学,高知工科大学,山形大学,上智大学,東京電機大学
(京都会場),23 京都大学,16 大阪産業大学,13 マツダ,9 神戸大学,9 三菱自動車,7 トヨタ自動車,6 フタバ産業,6 ダイハツ工業,5 同志社大学,4 中央精機,大阪工業大学,三菱電機,3 川崎重工,光洋精工,1 イシダ,TCM,アイシン・エイ・ダブリュ,カヤバ工業,サイバネットシステム,レカロ,豊田中央研究所,豊田自動織機,金沢工業大学,産業技術短期大学,新東ブレーター,大阪府立大学,日本輸送機,琉球大学,コベルコ科研,オーテックジャパン
Q3.自動車関連会社に勤務しています.職務はシャシーと直接関係がありませんが,運動性能関係のことには興味をもっています.本講習会を聞くのは適当でしょうか?
A3.この講習会を始めた時には,こういう方が聴講にこられることは考えていませんでした.例年,聴講者の方の中にはエンジン関係の方,パワートレイン関係の方などがかなりおられます.講師陣にとって嬉しい誤算です.勤務が自動車関係の方であれば,関連分野の知識は年数にしたがって増えてくる面もあります.しかし,運動性能,特に運動力学は基礎事項の体系的な把握がある程度必要です.そのためにも是非一度聴講してみて下さい.また所属組織の面からもA2の回答どおり,講師陣が予想していなかったバラエティの方々に聴講いただいています.
Q4.講義のすべてを理解する,というのは難しかったので,また1~2年後に聞きたいと思っています.講師の担当が毎年替わっているとのことですが,リピータの方はどのくらいいるのでしょうか?
A4.10%強の方が2回以上受講しておられます.講師によって重点の置き方,説明の仕方が異なるので,2回目以降でも興味もって聞いていただけると信じています.
Q5.自分は高等専門学校機械系の学生です.自動車に興味があって機械系を選んだのですが,学校では自動車関係の講義がほとんどありません.この講習会の内容には興味があるのですが,聴講して理解できるでしょうか?
A5.機械系の高専5年生の方(大学生なら3年生以上の方)であれば,予備知識的には全く問題ないと思います.振動学,制御工学の初歩を学習していることが望ましいですが,実際には,内容のほとんどは,高校の物理の力学の知識程度の前提です.ただし,短い時間の講義ですので,基礎知識と実際の自動車の知識の両方が少ないと講義についていくのが苦しくなってくる面はあるかもしれません.もちろん,1回で全部完璧に理解できるということはどっちにしても難しいので,興味があるのであれば,まず受講してみてはいかがでしょうか.
Q6.この講習会を受講すると自動車メーカーに就職するのに有利になりますか?
A6.全く関係ありません.
Q.運営,実施方法について.
Q7.テキストを前もって配布して欲しい.
A7.そのほうが良いことはわかっているのですが,事務的に難しいです.郵送の場合,費用の点や工数,手間の点.WEBに載せるのは,テキストだけ持っていく方がでて,講習会が成り立たなくなる面もあります.また,テキストには誤記が結構あり,講習会の場で修正が説明される箇所もありますので,テキストだけ見られると誤解を招く面もあります.良い方法があれば良いのですが.
Q8.章ごとの記号や座標系を統一して欲しい
A8.ごもっともですが,講義をする立場からすると以外と難しいのです.個々で説明する現状以外に良い方法はないと思います.本格的に統一するのは,学会などで組織的にやらないとできないと思われます.
Q9.平日に開催して欲しい
A9.連休後(の土曜日)に毎年行っていますが,これは,大学,会社の新人配属の時期という観点です.土曜日(休日)に行っているのは,受講生の観点もありますが,実は講師の都合が大きいのです.つまり,平日にすると大学の講義等の関係で,講師の日程調整が非常に難しくなるというかほとんど不可能です.休日だから出席できた,という意見も伺っており,現状では,休日(土曜日)開催にせざるを得ないところです.
Q10.受講料を下げて欲しい.
A10.この講習会は,もともと多くの方に受講していただきたいということで,学会規定の講習会枠(通常1日で15,000~20,000円)を大幅に下回る価格で提供しています.主催学会を自動車技術会から機械学会に変更したのも,自動車技術会事務局から継続の条件として大幅値上げを言われたためです.他から資金が入れば別ですが,価格についてはぎりぎりの設定をしており,この主旨をご理解願えれば幸いです.なお,受講料は他の講習会と比べて,あるいは内容に対して,安くて良い,というご意見も多数いただいています.