TRANSPORTATION AND LOGISTICS DIVISION
TRANSPORTATION AND LOGISTICS DIVISION
第100期の部門長を仰せつかりました埼玉工業大学の皆川佳祐です。交通・物流部門では、昇降機・遊戯施設技術委員会で活動をしています。
学生時代から免震・制振装置の研究開発、機械系構造物の耐震性評価などに取り組んでいましたが、その一環としてエレベーターの耐震性評価やロープの地震時振動の研究を実施するようになり、今では昇降機全般の技術、特に安全技術に携わるようになりました。交通・物流部門で活動するようになったのは10年ほど前からですが、理論だけでなく、実際に対象物があり、最終的には製品に繋がるこの部門からは多くの刺激を受けています。産学のバランスも良く、既存の考えにとらわれない会員が集まっており、非常に多くのことを学ばせていただいています。
学会の役割として、機械工学に関する最新情報の入手や自分自身の研究成果のアウトプット、会員同士の交流などが挙げられるかと思います。特に交通・物流部門では、自動車、鉄道、航空宇宙、船舶、昇降機・遊戯施設など様々な技術分野を背景とする活動を行なっており、特定の技術分野のみの活動では解決できない問題についても、さまざまなアイディアを得ることができます。また、近年は部門間連携、他の学協会との連携も進んでいることから、より広い領域との交流が期待されます。
ここ二年間はコロナ禍により対面での活動も制限されてきました。本年度からは対面での活動も再開されましたが、コロナ禍以前の活動形態に戻るのではなく、活動のデジタル化などコロナ禍で推進された取り組みや工夫をうまく活かしながら、より魅力的な活動を実施できればと思います。ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
コロナ禍3年目で迎えた今期2022年度は、日本機械学会の行事も対面での開催が再開され、新たなスタートを切った一年となりました。2020年、2021年とオンラインで開催されていた部門大会TRANSLOGも、2022年度は東京大学生産研究所で開催され、交通・物流部門の仲間と久しぶりに対面で再会することができました。また、講演者から講演後にさらに詳しくお話を伺えたり、参加者間で休憩時間に情報交換できたりしたことは、学会の意義を改めて認識する良い機会となりました。加えて、オンライン開催とした2年間の経験を活かし、ハイブリッド方式での開催としたことで、多くの方に参加頂けたものと思います。
前年度に引き続き、今年度は部門間連携が活性化された一年でもありました。機械力学・計測制御部門大会D&Dと交通・物流部門大会TRANSLOGでは、双方で交通・物流機械のダイナミクスに関する合同セッションが企画されました。また、D&Dでは鉄道に関するチュートリアルが実施されました。年次大会などでも複数の部門と合同セッションが企画され、他部門の方と研究成果や課題を共有することができました。
また、会員外の方々とも連携を深めた一年でした。電子情報通信学会とは連携講習会「つながる機械 ~機械と通信の融合~」、日本ディープラーニング協会とは連携講習会「ディープラーニングと機械~基礎と応用~」、クレーン協会とは年次大会で先端技術フォーラム「大型機械構造物の安全化と構造ヘルスモニタリング」を実施しました。また、そのほかにも各種技術委員会や研究会の行事、恒例となった「夢・アイデア乗り物コンテスト」では、多くの一般の方々に参画頂けたかと思います。
このような活動も、交通・物流部門の各委員、担当職員、部門登録者等々、多くの方々のご尽力とご協力によるものです。ここに厚く御礼申し上げます。
機械システムや機械産業の更なる発展やイノベーションには、分野の垣根を超えた情報共有や交流が極めて重要かと思います。その点で、人と物の移動に関わる全ての機械システムを対象とし、産官学の連携も強い交通・物流部門は、極めて重要な学会組織かと思います。今後、このような特性を活かし、交通・物流部門が益々発展することを祈念するともに、私自身も微力ながら引き続き協力させて頂きたく思います。
1年間どうもありがとうございました。
第99期の部門長を仰せつかりましたJR東日本先端鉄道システム開発センターの浅野浩二と申します。
私は今まで研究開発部門において鉄道車両の走行安全性、新幹線の乗り心地向上等の開発を担当してきました。特に新幹線に関しましては新幹線高速化プロジェクトに所属して、歴代の新幹線試験車両(STAR21、FASTECH360、ALFA-X)の開発に携わらせていただきました。新幹線の高速化には、ただ早く走るだけでなく、安全に早く止まる、騒音を低減して静かに走る、乗り心地等車内快適性を向上するといった、ある意味相反する課題を両立させることが必要であり、課題解決のために最新の技術、他業界の技術などを常にリサーチして活用できるところは採り入れてきました。
交通・物流部門は様々な業界の専門家が所属しており、部門大会等の場で情報交換することで、課題の解決策の相談や最新技術動向の把握、そして問題認識の共有化など有益な技術交流ができるところであると思います。さらに最近は他部門との連携も進められており、より広範囲で横断的な交流により部門活動も活性化していくものと期待しております。
また私などは鉄道業界にいながら、プライベートでは車でドライブすることが好きで、自動車と鉄道車両の乗り心地の考え方の差などにも興味があるので、部門交流の中でそのような話もできれば良いなと思っています。
近年のコロナ禍による活動自粛等で思ったような交流ができない状況ではありますが、やり方、仕組みを工夫しながら、少しでも交流を深める機会を作っていきたいと思います。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
今期は横断的な部門間連携等による学会活動の活性化を目標としてきましたが、運営委員会、部門大会実行委員会、各技術委員会、各種研究会などに所属する皆様、そして部門の開催行事に参加してくださった多くの会員の皆様のおかげで実りのある成果を挙げることができました。
2021年12月に開催した交通・物流部門大会(TRANSLOG2021)は、前年に引き続きオンラインによる開催となりましたが、技術講演会「昇降機・遊技施設等の最近の技術と進歩」を同時開催するとともに、電気学会・土木学会共催の「鉄道総合技術シンポジウムJ-RAIL2021」も同時開催し、多くの方にご参加いただきました。また、この部門大会では「夢・乗り物アイデアコンテスト」も開催し、幅広い世代の想像性や自由な発想についても紹介しました。
更に国際連携の一環として、2021年11月に鉄道国際シンポジウムSTECH2021を、フジサンケイビジネスアイ(日本工業新聞社)主催の鉄道技術展2021と同時開催しました。シンポジウムは基調講演のみ現地、他はオンラインのハイブリット形式で開催し、約180名の参加者、72件の講演発表が行われました。
部門間連携の取り組みとしては、機械力学・計測制御部門、ロボティクス・メカトロニクス部門、宇宙工学部門と共同で部門大会、講演会、年次大会における共同セッションを企画、実施しました。
また、毎年参加者から好評をいただいている技術講演会、セミナー、講習会は、年々充実しており、今期はセミナー「自動車の運動力学」、講習会「とことんわかる自動車のモデリングと制御」「機械-電気の統合モデルによるモデルベース開発」、他学会・協会との連携講習会「つながる機械 ~ 機械と通信の融合 ~」「ディープラーニングと機械~基礎と応用~」を開催しました。この他にも、多くの研究会が活発に活動し、部門間連携にも積極的に取り組んでいただきました。
広報活動としては、自動車、鉄道、航空宇宙、船舶、昇降機・遊戯施設などから幅広く原稿を募り、9月と3月の計2回ニュースレターを発行し、最新技術などを広く伝えました。また、より部門活動内容を理解して頂けるよう、広報・出版委員会が中心となり、ホームページのリニューアルを実施しました。
以上のように1年間を通しての交通・物流部門各位の多大なるご尽力のおかげで、無事に部門運営を進めることができましたことに対し厚く御礼申し上げます。今後の交通・物流部門の更なる発展を祈念いたしまして退任の挨拶に代えさせていただきます。
1年間本当にありがとうございました。