HYPERプロジェクト フォン・カルマン賞受賞
低速からマッハ数5までの飛行を可能とし(現在就航中の超音速輸
送機はマッハ数2で飛行)、燃費が良く、低騒音で排気による環境へ の影響の少ない推進システムの開発に必要な技術が確立された。プロジェクト目標の一例を表1に示す。
本プロジェクトは、通商産業省工業技術院の産業科学技術研究開発制度の下に、国際共同研究開発プロジェクトとして、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が行った事業である。国内のエンジンメーカ3社で組織する超音速輸送機用推進システム技術研究組合と、世界有数の海外航空機エンジンメーカ4社に委託するとともに、国立研究所(航空宇'宙技術研究所、計量研究所、機械技術研究所、大阪工業技術研究所)も参画して、1989年度から1998年度にかけて研究開発を行った。
技術実証に用いられたのは、飛行状態に応じて最適サイクルを選択
できる可変サイクルターボファンエンジンと高速域での性能がよいラ ムジェットエンジンとを組み合わせたCCE(コンパインド・サイク
ル・エンジン)という世界の民間航空分野では初めての概念を有する全長約7メートル、エンジン入口径約1.3メートルのエンジンである。
1999年3月には米国にある高空性能試験設備を用いてエンジン試験に成功し、また、世界最高レベルであるタービン入口温度1700℃での耐久試験に成功するなどその節目節目で多大の成果をあげてきた。
今同受賞したICASフォン・カルマン賞は、世界33カ国の航空学会の連合組織であるICASが、1982年以降、国際共同開発の分野で多大の成果をあげた最優秀のプロジェクトに2年ごとに与える賞である。我が国が関与するエンジン・プロジェクトとしてはV2500に続いて2
番目の受賞となるが、日本主導のプロジェクトでは初の受賞である。
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記号の説明:
ICAO=InternationalCivilAviationOrganization
国際民間航空機関(国連の機構)
ICAS:TheInternationalCounciloftheAeronauticalSciences
国際航空科学会議
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取材協力・写真:超音速輸送機用推進システム技術研究組合
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