鉄道車両輸出伸びる−EU向けに電車を初輸出−
近年、不況による国内市場の縮小と円安を背景とし、鉄道車両の輸出が大幅に伸びている。鉄道車両の輸出先としては、アジア、北米、南米、アフリカなどが多い。EU向けについては、域内にグローバルな車両メーカが多く存在し競争も激しいため、これまで完成電車の輸出実績がなかった。
アイルランド国鉄はダブリン近郊路線の電化を進めており、1983年以降DART(Dublin Area Rapid
Transit)という愛称でサービスをしている。電車としては、開業時のドイツ製の80両、増備のスペイン製10両に加え、今回日本から8500系電車16両が納入された。これは、EU向けとしては初の完成電車輸出となる。
8500系電車は、1ユニット4両固定編成のVVVF制御電車であり、既存車との共通運用・併結が可能である。基本仕様は、EN,BN,UICなどヨーロッパの規格が適用されており、CEマークも取得している。乗客の安全対策として、ヨーロッパの規格により衝突解析を行ない、前面側と連結妻側にクラッシャブルゾーンを設けている。気候的条件から、冷房装置は設置されていない。社内外の表示は、アイルランド語と英語の2カ国語が併記されている。
(注)CEマーク:製品が関連するEUの安全規制に適合していることを示すシンボル
アイルランド国鉄8500系電車 主要諸元
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電気方式 |
直流1500V |
軌間 |
1600mm(広軌) |
最高速度 |
110km/h |
車体寸法 |
幅2900mm×高3870mm×長20500mm |
構体 |
ステンレス鋼製(塗装) |
台車 |
ボルスタレス軽量台車 |
制御方式 |
IGBTインバータ制御 回生・発電ブレーキ付 |
取材協力・写真:東急車輌製造(株)
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