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人脈の大切さ

鶴岡工業高等専門学校 創造工学科 機械コース 5年
中村 怜誠

 「…ナニコレ?」
 卒業研究開始直後の私の心からの言葉である。私の研究は先輩から引き継いだ「メカナムホイール」を使って行うため必然的にそのプログラムに触れるが、その膨大な量と訳の分からない言葉で埋め尽くされたプログラムは難解そのもの。おまけに先輩の残した説明書に無い動作をし始める始末。少し忘れかけていたマイコンやプログラムの授業の知識を頭と教科書から絞り出して何とか解析を進めてみるも、漠然と何が書いてあるのかわかるまでに5か月もの時間が経っていた。その後も順風満帆に行くはずもなく、半角スペースと全角スペースを間違えそれに気づかずに他の原因を探していたり、突然の断線により機体制作時の手抜きが発覚し、一度すべて分解して他に異常がないか調べたりするなど、次々と問題が起こり、やりたい研究を開始するまでにさらに多くの時間を要した。
 そんな日々を過ごす中で私は数多くの学びを得た。それは「回路の知識」だったり「オシロスコープの使いかた」といった比較的専門的なものが多かったが、その中でも特に身に染みて実感したものは、あたりまえのことだった。「人脈は大事!!」これに尽きる。実は私の研究は有難いことに非常に多くの人に協力してもらって成り立っている。わからないことがあれば研究室の先生に気軽に聞きに行くことが出来たし、それでもわからないときは仲のいい先輩の伝手で前にメカナムホイールを研究していた先輩と連絡を取ることが出来た。他にも、実験の方法に悩んでいた時も友人がヒントをくれたり、実験風景の撮影にも協力してもらった。そのいずれも私一人では解決するのに多くの時間がかかったことだろう。下手すれば帰省してのんびり寝正月を楽しんでいるこの時にも研究室に缶詰になっていたかもしれない。もちろん他力本願になりすぎることはよくないが、得た人脈を介して相互で協力することで、多くの問題を解決できる。
 これから社会に出て働く時も人脈は大事になってくるだろう。それを当たり前のことではなく、身に染みて理解した自分だからこそ、紡いだ人脈を大事にする大人でありたい。



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