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第8回廃炉創造ロボコンを通して

一関工業高等専門学校 未来創造工学科 機械・知能系 5年
小笠原 蒼太

 我々の研究室は2023年12月に行われた第8廃炉創造ロボコンに参加した.廃炉創造ロボコンとは東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業を想定したルールで行うロボコンである.競技課題として障害物の踏破,高所へのアクセス,壁面の除染作業,遠隔操作,有線通信のためのケーブルマネジメントが与えられた.研究室のメンバー5名で設計,制御等の役割を分担しながらロボットの開発を行った.メンバーのうち2名は高専ロボコン経験者であり,その2名が設計をレビューしながら進めた.写真が完成したロボットの様子である.
 授業でベアリングの寿命を計算したり歯車の減速比を計算できることと,実際にロボットを設計できることの間には大きな溝がある,ということを私は3+1年間のロボコンを通して理解した.それはロボットを動かすために考えなければならないことが非常に多いことに原因がある.例えば与えられた課題に対してどのようなアプローチを選択し,そのアプローチの実現のためにどのような動作を行うか,そしてその動作をどんな機構で実現するか,をひとつひとつ詳細に抜けがないように検討する必要がある.どれも普通の授業では習わないことばかりだ.タイヤで進むために,安定して回転する車軸を設計することですら,経験がなければ難しい.実際,移動機構の設計をレビューすると回転する部品とフレームが接触しているなど欠陥を見つけた.ロボコンの良いところはそのような検討や設計,実験とレビューを製作期間中に高速で繰り返すことができることだと考える.ロボコンで得た,与えられた課題を解決する能力を磨いていけば,いつかは問題を発見し解決する研究の能力にもつながるだろうと私は思う.





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