流れ着いた先で得たもの
弘前大学 理工学部 機械科学科 4年
藤田 翔平
私が所属する機械科学科では、3年生後期にそれぞれの研究室に仮配属がなされます。通常,4年生に進級すると同時に、仮配属された研究室で本配属となり卒業研究を開始します。私は、その仮配属では希望する情報系の研究室に配属されました。興味を持っていた研究分野であったため、その結果をとても喜んでいました。しかし、三年生の三月つまり4年生になる1ヶ月前に、私が仮配属された研究室の先生が他大学に異動することになり、研究室が解散し無くなってしまいました。私はこの話を聞いたときせっかく希望の研究室に入ったのに・・・と酷くショックを受けたことを今でも覚えています。それに伴って研究室の移籍が必要となりました。そして、その移籍先の研究室の候補として、情報系の研究室が選択肢として機械科学科から提示されなかったため、熱流体系の鳥飼研究室に移動しなければならなくなりました。
鳥飼研に移ってきた当初は、鳥飼研が専門とする燃焼学に対する知識も仮配属時から所属している鳥飼研の同期と比べると少なく、また研究テーマも鳥飼研の中で全く新しいテーマとして立ち上げることとなったため、状況も環境も研究も何も、良くわからずとりあえず研究を開始しました。その当時は、分からないことなどがあると、研究室の先輩方に良く相談をしていました。そのとき丁寧に対応してくれた先輩方には、今とても感謝しています。そして、与えられた研究テーマに関する過去の研究や燃焼学に対する知識も、自分でできる限り勉強して行きました。研究を実際に開始する前は、元々情報系の研究をしたかったので、燃焼系の研究に強い興味も無く、正直やる気が余り起きずにいました。しかし、実際に研究を進めていく中で、いつの間にか興味が薄かった研究に真剣にのめり込んでいました。
そんな時間を過ごして、私は、この熱流体系の鳥飼研究室で多くのことを学びました。それは、『とりあえずやって見ること』や『自分の考えを持つこと』、『他のものからアイデアを得ること』などといった、研究を行う上でまた社会に出て仕事をする上で大切となるものの考え方でした。その他にも『研究に行き詰まった時に自分一人で塞ぎ込むのではなく先生や周りの研究室の仲間に相談すること』というのも重要でした。これは、物事に対して何事かを一人でやっているように見えて、実際は沢山の人の手助けの下で取組めているんだということへの気づきでした。このことは自分ではわかっていたつもりでしたが、卒業研究を通して改めて学ぶことが出来たと感じています。
最後に私は、来年から東北大学大学院へ進学することになり、また研究室を移ることになってしまいましたが、はじめは本意では無かったけれど研究室を移動して良かったなと科考えています。それは移動した研究室において、自分が仮配属で所属した研究室では得ることが出来ないであろう経験を沢山させて頂いたからです。
これからの人生でも、不慮の出来事から自分の希望が通らず、期待外れなコトが自分に起こるかも知れません。しかし、そうなった時は、ふてくされずにこの研究室で学んだ『とりあえず自分が与えられたことを一生懸命やる』という気持ちや考えを大切にしたいと思います。そうすることで、不遇な境遇においても自分の仕事にやりがいを持ち、真剣に生きることが出来ると考えています。
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