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30年後の未来を思い,今を考える.

福島大学
長岡瞬

 この電子コンパスという活動は1990年度から2021年度まで,およそ30年続く活動である.つまりこの活動が今後も継続されるとすると,この原稿も30年後の2052年に大学生である誰かに読まれるかもしれない,ということを意味する.過去の原稿を見てみると,美味しいラーメンの話や研究の話など様々な記事で溢れていた.私は誰かの真似をすることがどうしても嫌いな性格であるため,どうにかして今までにはない新しい視点で原稿を書きあげてみたかった.こうして,色々と考える中で思いついたアイデアが,ある種タイムカプセルのようなことである.30年後にもし自分や自分と同じ世代の方が読んだとして,あぁこんなことがあったなぁと思える内容,30年後に大学生になっている皆さんが読んで,こんな時代だったのかぁ,と理解しながら読んでもらえるような文章ならば,結構面白いものになるのではないか,と考えた.

 さて皆さんはTwitterというSNSをご存じだろうか.これは“つぶやく”機能で世界中の人と簡単に繋がることのできるツールだ.そんなTwitterの今日のトレンドのひとつが『#Twitter終了』だった.ちなみにTwitter社を電気自動車メーカーTeslaのイーロンマスクが買収したあたりからずっとこんな感じである.きっと近いうちにTwitterに大きな動きがあるはずだが,あの世界一の大富豪が考えることだ,次に何をするのか想像もつかない.Twitter自体2006年に始まったサービスであるから30年も経てばTwitterは無くなり,全く別のサービスが台頭しているだろう.一体どんなサービスが私たちの当たり前になっているのだろうか.
 科学関連でいくと,今日のYahooニュースで10の30乗を意味する「クエタ」という新たなSI接頭語が追加された.新接頭語の追加は1991年以来で実に31年ぶりだそうだ!  今の大学生ならほぼ全員が使っているであろうAmazon, YouTube, Instagramといったツールに関しても今後どうなっていくのか,気になるところである.LINEは全年代で当たり前のように使われている連絡手段のひとつで,スタンプやメッセージを送りあって,気軽にコミュニケーションを取ることができるツールだ.利用率も80%を超えているそうだが,きっとLINEにも終わりは来るはずだ.“LINEの次”は何だろうか.想像するだけでも面白い.
 私はロボットの研究をしているため,LOVOTについて触れることも忘れてはいけない.LOVOTは2019年に登場した新しい家族型ロボットで,触ると温かいことが大きな特徴だ.今までにないコンセプトでできているロボットだが,aiboが23年前に販売されている事実から推察すると,あと30年もあれば,また全く新しいペットロボットが完成しているだろう.“LOVOTの次”も非常に楽しみだ.
 さて,ここまで,今世の中にある“当たり前”を見てきた.LOVOTはまだ“当たり前”ではないかもしれないが,これからきっと“当たり前”になっていくだろう.そして私もこの“当たり前”を創り出す側になっていきたいと心から思った.ここまでに出てきた固有名詞の数を数えてみると大体13〜14個といったところだ.タイムカプセルに入れる情報としては少なかったかもしれない.これを30年後に見る学生の頭上には何個のはてなマークがあるだろうか.私は懐かしい気持ちになれるだろうか.30年後が楽しみである.
 (執筆日2022/11/19 クリスマスソングの流れる衣川研究室にて)







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