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身体を動かさなければ

秋田県立大学大学院 システム科学技術研究科 総合システム工学専攻
佐藤杏祐

 20歳を過ぎてから身体が重くなった.原因は分かっている.運動不足だ.
 私は小学4年生から高校3年生までの9年間,部活でサッカーに励んでいた.高校のサッカーの試合では90分間グラウンドを走り続けるため,毎日の練習においても常に走ることが要求され,体を動かさない日などほとんどなかった.サッカーグラウンドの周りを全力で1周することや,3kmや10kmを決められたタイムで走ることなど様々な練習を行ってきたが,最もきつかったのは雪上を走ることである.秋田県出身であるため,冬の練習では雪で覆われたグラウンドの上を走ることが恒例となっている.この練習では数人のチームを作り,1人当たりサッカーグラウンドの縦105mを往復するリレー方式で行われ,負けたチームは罰ゲームで腕立てや腹筋が課せられた.寒さや雪といった普段とは異なる環境で走るため,身体への負荷がよりかかりやすい練習となっている.このような練習を継続していたため,疲れの感じない強い身体になっていた.
 しかし,大学に入学後,部活動に所属しなかったため身体を動かす機会が極端に少なくなった.さらに,移動にも車を使用することが増えたため,高校の時と比べると生活が180°変わり身体を全く動かさなくなってしまった.また,20歳を過ぎるとお酒という楽しさを覚えてしまった.それに伴い,年を重ねるごとに身体は徐々に重くなってきている.最も身体の重さを感じたエピソードとしては,大学で行われている研究室対抗のマラソン大会に参加したときである.距離は1.3kmであったが,走り切った後は立ち上がることができないほど疲れてしまった.高校時代には激しい練習を行った後にも自主練をしており持久力には自信を持っていたため,当時の私は深く衝撃を受けた.マラソンの完走後,父の姿が思い浮かんだ.部活のイベントで父親たちと一緒にサッカーをしている時に,「足がついていかない」,「もう無理だ」と言っていた. 年を重ねるごとに父に近づいてきているのだなと実感した.
 最近はエレベーターではなく階段を使用することや,移動の際には車だけではなく積極的に歩くことなど体を動かすことで日常の行動を改めている.これからも元気に生活するために意識して身体を動かしていきたい.







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