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大学での研究活動について

八戸工業大学 工学部 機械工学科 4年
神凜人

 現在の自動車塗装工程では、塗料の約30%程度がボディに塗着せず無駄になっている。さらに、塗装工程で消費されるエネルギーは全行程の約25〜40%を占めており、塗着効率の向上が実現することで、省エネルギー化、省資源化が可能になる。これらの問題を解決するために、実際の塗装現場では、生成された塗料液滴を帯電させて塗着効率向上を目指しているが、その帯電特性については不明な点が多く存在している。

 上記のような背景から、本研究室では噴霧塗装のメカニズム解明を目指し、本学、弘前大学、東北大学、九州工業大学および本田技研工業の1企業4大学体制で研究を行っている。なお、私たちの研究室では、液滴の基本的な電気的性質の解明を目標に「噴霧塗装における液滴の帯電および表面電位測定に関する研究」という題目で研究活動を行っている。

 ここからは、具体的な私の研究活動について述べていこうと思う。私たちの研究室は、学部4年生6名で構成されており、平日は毎日実験、解析等を行っている。実験では、数mmオーダーの液滴を扱っているため、数値の読み間違いや一瞬の気の緩みで実験データに大きな誤差が生まれてしまう。実際、研究室に配属されてすぐに、実験機材の設定ミスにより実験が計画より大幅に遅れてしまう事案があり、とても苦労した。そのため、研究室メンバー全員が毎日気を引き締め、初心を忘れないように実験やデータ処理を行った。また、本研究は産学共同研究であるため、研究に関する打ち合わせや年数回の進捗状況報告会が行われる。これらの報告会では、他大学の先生方や学生および企業の方々と交流することができ、沢山の気付きや学びがあった。

 今年度の研究は、当初の計画と比べて、若干の遅れや新しい課題が山積する結果となってしまった。しかし、共同研究を行っている他大学や多くの企業に支えられ、無事に1年間研究を継続することができた。幸いにも私は、来年度、大学院へ進学する。これまでの遅れを取り返し、新たな成果をあげられるよう、研究に励もうと思う。







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