酷道398号線
東北学院大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 2年
横山 優
私は高校3年生の頃から,趣味でロードバイクに乗っている.これまでに色々なところに行っており,ツール・ド・東北というイベントに参加したこともあって,そろそろ趣味の範疇を超えてしまうのではないかと考えているところだ.学生という身分であることから,お金を掛けないためにも日帰りで行き来できるところを目標地点に設定している.ここでは,私が最も過酷だったと感じる旅路について書きたいと思う.
大学3年生の夏に,ふと自分の脚力を試してみたくなった.というのも,大学までの片道12kmの通学路をロードバイクで通っていたことに加えて,自宅から岩手県,山形県,福島県の県境まで日帰りで行った経験があったことから,自分の限界を試してみたくなったのである.色んなところを調べていく中で,今の自分に最適な目的地は秋田県の県境だと考えた.距離は片道約90kmで,過去に行った場所と比べてもあまり変わらないが,道中の坂の勾配と長さがこれまでに経験したことのないものであることが地図上で確認できた.
目的地を定めた私は,すぐに実行に移した.朝起きて天気が良かった日に,入念な準備もなしに出発したのである.本来であれば,自分がその日に走る距離から消費カロリーを概算して,補給食を備えて出発するものだが,楽観的な性格である私は後先のことは考えていなかった.走り始めてしばらくは調子が良かったため,これまでに行った県境とあまり変わらないと思っていた.ところが,自宅から60km地点を過ぎると段々山深くなってきて,飲料を補給できるポイントが少なくなり,70km地点以降では住居は無く,車すらあまり通らなくなった.これまでの経験上,目的地に近付くにつれて人と会わなくなることはあったが,全く出会わなくなるということはなかった.ここではじめて,自分の選択がある意味正しかったことに気づいたのである.その後もなんとか漕ぎ進め,無事目的地にたどり着いたことで大きな満足感を得て,帰路についた.
自分の能力を試す機会は,年齢を重ねるにつれてだんだんと少なくなっていくと思う.私はまだ学生であるため,時間的にも精神的にも余裕があり,様々なことに挑戦する意欲を保てている.来年から社会人になり,おそらく多忙な日々が待ち受けているだろう.そうした日常においても,意欲的に,自分を高められるように邁進していきたいものである.
|