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旧態依然

秋田県立大学 修士1年
山ノ内雄渉

 私は昔から,期限ぎりぎりまで物事を先延ばしにする性格である.その性格は大学院進学後の現在も変わらず,講義のレポートや学会発表の資料に至るまで基本的に締め切り間際に完成させて提出することがほとんどである.そんな性格である私は,期限前日に徹夜をして課題を完遂させるということもしばしばある.徹夜をする際には,決まって近所のコンビニで大量の缶コーヒーを購入し,コーヒーを飲みながら一心不乱に睡魔と戦い課題を完遂させるというのが毎回の流れとなっている.

 大学の学部時代は,主に講義のレポートの提出期限に追われて徹夜をすることがほとんどであったが,進級するとともに履修する講義数が減っていき,それに伴って徹夜をする頻度も減っていった.しかしながら,大学院進学後は講義のレポートに加えて自身の研究成果をまとめたゼミ資料や学会発表用資料の準備など,学部時代に比べてやるべきことが非常に多くなり徹夜をする頻度が格段に増えた.徹夜をする頻度が増えた要因としては,単純にやるべきことが増えたということも考えられるが,最も大きな要因としては,やはり冒頭部分に記述した私自身の性格にあることは言うまでもない.私自身もその性格を直そうと試みたことは今までに多々あるが,やはり長年に渡って培われてきた性格がそう簡単に直るはずもなかった.というのも,今までの私の人生において徹夜をすれば何とか間に合ってきたという経験が非常に多かった.それらの経験を通じて,たとえ課題の取り組みを先延ばしにしたとしても徹夜をすればなんとかなるであろうという根拠のない自信を抱いている点が,自身の性格を今日まで一向に改善することができなかった大きな原因であると考えられる.要するに,私はまだ徹夜をして失敗した経験が一度もないのである.

 人が自身の行いや立ち振る舞いについて顧みるのはどのような状況においてかについて考えたとき,おそらく自分自身が何か失敗を犯してしまった場面においてが非常に多いのではないかと考えられる.では,私自身が徹夜をして何か失敗を犯すのをただ待っていれば,悩みの種であるこの性格が改善されるのかと問われると,そのようなことは決してないであろう.少なくとも私は,自身の性格によって不利益が生じる可能性があることを自覚しているため,わざわざ失敗を犯すのを待つのではなく,対策案を練って改善に取り組む方が得策であると考えられる.また,私はまだ学生の身分であるため,学生でいられるこの期間に失敗を犯してしまったとしても社会に対してそこまで大きな損失を与えることもないだろう.ところが,私がいつか就職し,社会人として就職先の組織で活動するにあたって失敗を犯してしまった場合,そこでの失敗は就職先へ多大な損失を与えてしまう可能性が考えられる.そのため,やはり失敗を犯すことなくこの性格を改善することに越したことはない.

 インターネット上で自身の性格に関連する記事について調べてみると,意外にも多くの関連記事に巡り合うことができ,その中には精神医療や臨床心理士などの専門家の方々によって書かれた記事も多数含まれていた.ここまでくると,私の性格はもはや病気の一種なのではないかという思いさえ湧いてくる.私が社会人になるまでに残されている時間は僅かであり,これからの大学院生活においてやらなければいけないことはまだ非常に多く残されている.大学院での研究の完遂が現在のところの私の中にある大きな目標の一つであるが,社会人になるまでに私自身の性格の改善も目標の一つに含めて,残された大学院生活をそれらの目標の達成のために努めていこうと切に思う.







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