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22歳なんて碌でもない

日本大学 工学部 機械工学科 4年
木村実穂子

 最初に断っておくが、タイトルは飽くまでも「私の場合は」というだけで、世の中には“碌でもある”22歳は沢山いるということを忘れないでほしい。

 卒研発表会も終わり、卒論も仕上がり、就職先も決まり、4月からは新社会人という今日この頃。4年間の大学生活を振り返り、内定先から送られてくる社会人に向けてのワークシートをこなしながら、最近思うことは、「22歳なんて碌でもない」。
 中学生あるいは高校生の頃に想像した22歳は、もっとずっと大人だった。行動力があって、しっかり前を見据えて自分の両足で立っていて、若さと知識を兼ね備えている、そんな大人だった。でも実際は、本当に大したことなくて、これで本当に社会人ができるのかと不安を通り越して呆れるくらい、お世辞にも大人とは言えない、そんな22歳を生きている。
 就活の時に必ずと言っていいほどに聞かれる、学生時代に力を入れたこと、所謂「ガクチカ」。私は苦し紛れに「レポート作成および提出」と書いた。一見「勉強を頑張った」ように見えるが、そうではない。一般に「大学生の勉強」とは、自分の興味のある学問を自主的に学ぶことを指す。私の場合、(自分で言うのも変な話だが)確かに成績は良い方ではあったが、「何時何時までに提出しなさい」と他者から与えられた課題をただ消化していたにすぎず、小学生の宿題と何ら変わらないのだ。部活動も、所属はしていたが部室でダラダラ駄弁っていただけだった。アルバイトをしていたわけでもなく、ボランティアに積極的に参加したわけでもない。自転車で北海道一周だとか、海外を渡り歩くだとか、そんなのは縁のない他人事で、縁を探すことすらしなかった。先生にも勧められていた大学院への進学も、親兄弟からの反対を受けて諦めた。「あと2年どうしても」と跳ね返せる、自信も熱意もなかったからだ。部活も、旅行も、大学院も、できたくせにしなかった後悔が、足を引っ張るほどではないが胃靠れのようにあって、これからも消化できずに万年胃靠れで生きていくのだろう、なんて考える。
 こんなことをつらつらと書いていると、小さい頃、母に「何でもいいから、ひとつでいいから、本気になって必死こいて取り組んでみろ」と言われたことを思い出す。母には申し訳ないが、あの頃から何も変わっていない。相変わらず、溺れない程度に頑張って、あとは唯々流れに身を任せてどんぶらこしている。私が4年間で得たものといえば、運転免許証、お酒、体重、それに少しの友人と少しの知識くらいだろう。折角得た知識も、使わないとあっという間に使えなくなって、ノートを見ればわかるが頭には何も残っていない。挙句卒研でさえ先輩におんぶにだっこの始末である(先輩方本当にありがとうございました)。学費を出してくれた両親には心から申し訳ないと思う。本当に碌でもない。







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