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繋がりと経験

福島大学 4年
内野孝久

 大学4年生の1年間は,新型コロナウイルスにより様々なことが拘束された年となった。私自身の趣味が大規模イベントに依存しているがゆえに,多くの楽しみがなくなってしまった一方で,乗り越えるべき壁は顕在していた。そんな1年間に私が感じたことを述べていきたいと思う。
 まず人との繋がりの大切さである。4月頃から,緊急事態宣言に伴い外出の自粛が始まり,研究室に通うこともできず,一人でいる時間も多くなった。そんな中で,オンラインゲームでのボイスチャットや時短営業の中でのアルバイトが人とコミュニケーションをとる数少ない機会であった。おかげで人との繋がりを維持することができたが,人と接しないことの恐ろしさを痛感した期間だった。また他大学院進学に向けて,ちょうどこの頃は他の研究室に訪問し,研究内容や研究室の雰囲気などを聞きに行く予定であった。だが,外出自粛に伴いそれも不可能となった。ありがたいことに,各研究室の先生方にはZoom等のオンラインシステムを用いて研究内容などの説明を行っていただいた。加えて,私が来年からお世話になる大学院の研究室には,現在所属している研究室のOBがいた。その方から大学院試験についてや大学院での生活など多くのことを聞くことができた。現在所属している研究室の先生と大学院にてご指導いただく先生とは互いに面識があったことから,大学院での研究の一端をさらに知り,これらが自らのモーティブ・フォースを高めることができ,私の大学院試験の成果に繋がったと思っている。
 次に卒業研究について。卒業研究のテーマは大学院での研究と直結するものではないが,ここで培った多くの経験はきっと今後自分のためになると思う。まず,会社の方に連絡をとり,依頼を行い,その際には自身が行う研究について説明もした。また複合材料を自ら作製することにより,複合材料についての理解も深まったと思う。当然だが,先生は多くの知見を持っているため,私が研究していく上で,考えていなかった方向の指摘をいただいた。そして論文等の作成時には,多くの添削をいただいた。上述は,他者とのやり取り,自分が扱う「もの」に対する理解,幅広い知見,文書作成能力と,卒業研究に限らない一生ためになる経験である。
 来年度からは新たな生活が待っている。困難も多々あると覚悟しているが,人間関係を大切にし,この1年で得られたものを生かしていきたい。







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