富山での学会参加 福島大学理工学群 共生システム理工学類4年 私は現在,材料力学に基づき環境に配慮した複合材料システムの設計,人の歩行の力学的解析・靴底の開発,および太陽電池パネル架台設計などを行う研究室に在籍しており,特に私は熱可塑性樹脂と炭素繊維を用いた複合材料の環境劣化について研究している.熱可塑性樹脂と炭素繊維を用いた複合材料はCarbon Fiber Reinforced Thermoplastics,CFRTPと呼ばれ,自動車産業などを中心として適用が拡大しつつあるのだが,環境による力学的特性への影響についての研究はあまりない.そうした現状から,今研究を進めている. とはいえ,この研究テーマも研究室内ではスタートしたばかりであり,研究室内の他のテーマに比べると過去の蓄積が少ない.研究室に配属されたばかりの人間にとっては何から始めていいのかもわからず,戸惑いもあった.そんな中で学会誌の論文や解説記事を見つけては読み,少しずつ学んだ.ほとんど無知であった分野の知識を付けるのは難しかったが,面白くもあった.
学会誌や要項集だけでは分からない研究の細やかな部分をはじめ,研究発表を聞くことで多くのことを学べた.しかし何よりも大きかったのは,実際に研究をしている方々にお会いできた点だ.それまではやはり,何処か遠くの誰かが成していることであって,自分に関連した分野だとしても,いま一つ現実感がなかった.それが学会への参加を経て変わったように思う.論文や解説記事を読んでいても,それを研究している人がきちんと存在するということが明確になった.私にとってそれはとても大きなことであり,それだけでも今回,学会に参加した意義があったように思う.
しかし,研究室に配属されてしばらくの間学んでいても,研究がどういう現実の上に存在するのかという,研究の「リアルさ」はいま一つ分からなかった.工学という分野の性質上,それはとても重要にもかかわらず,である. それが講演や研究発表を聞くことを経て,現状何が必要であり,何が問題であり,何に取り組むべきであるかという研究背景や全体像が,それまでよりは把握できるようになった.そして,それらを歴史も含め俯瞰的に見つめつつ,自分の研究を進めることが重要であることも学んだ.それらは学会に参加して得た最も大きなものの一つであったように思う.
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