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海外インターンシップ

鶴岡工業高等専門学校 生産システム工学専攻 機械・制御コース 1年
小林亮太

 「小林,夏休み海外へ行ってみない?」指導教員のこの一言が私の英国行きの最初のきっかけである.当時,高専5年生で専攻科への進学が決まっていた私には,さしたる予定も無く,これといって断るべき理由も無かった.また,全国の高専から3人のみ選抜との事から,行ける可能性は限りなく低いだろうし.と,比較的気楽に,どこか旅行に行くような感覚で応募した.インターンシップ先については自分の専攻分野である機械工学に関わりたいと思い,主力製品がポンプである企業を第一志望とした.海外拠点は,英国のエディンバラにあるとのことだった.英国には自分の興味のある史跡や建造物があるので,海外インターンシップに行くのであれば,もはやそこしかないと思っていた.教科書的な英語にはある程度の自信があったが,それも同級生の間ではというレベルの,いたって怪しいものなので,出発前に単語帳での学習は行っていた.
 インターンシップの全日程は3週間あり,そのうち最初の1週間は神奈川県藤沢市の事業所での実習であった.ここでは工場見学を行い,真空ポンプの種類とその構造について学習した.このときは,大和市にある独身寮から毎日,藤沢事業所まで通勤した.社員寮に入る経験は初めてであったが,高専の寮とは違い,設備はとても快適であった.そんな日本での生活にしばし別れを告げ,いよいよ2週目からはエディンバラでの実習である.エディンバラの拠点では,ヨーロッパ中の真空ポンプの修理を行っていた.修理するポンプには自社製品が多いが,他社製品の修理も請け負うとのことだった.ここで,我々インターン生はポンプの修理工程を一通り体験することができた.
 出勤初日には言葉が通じるか緊張したが,案外,相手の方が何を言っているのかは大方理解できた.これには感動を覚えた.また,実際に会話の相手が目の前にいるからなのだろうか,面白いことに授業中に出てくる英文よりも,言っていることが断然理解できた.現地の方と英会話ができたという感動も相当に大きかったが,それと同じかそれ以上に,英国の(スコットランドの)あらゆる風物に感銘を受けた.風景で言えば,気動車の車窓から見えた,どこまでも続いているような緑の丘や,その上で草を食む羊,エディンバラやグラスゴー市内の旧様式の建築,表面が磨かれて如何にも年季の入った感じの,石畳の環状交差点など,風景からはスコットランドの歴史の長さと自然の豊かさを感じた.また,出発前には英国の食事は日本人の舌には合わないという噂を耳にしていたため,少しだけ心配していたのだが個人的にはとても満足のいくものであった.
 初の海外旅行は,特に重大なトラブルも無く終わった.今回の旅行からは挑戦することの大切さを身に染みて確認できたのではないかと思う.初めてのことでも,リスクが特に無いのであれば,面倒などと思わずに,臆することなくやってみると予想以上に良い事があるものだと思った.




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