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充実した医療機器研究環境を垣間見て

弘前大学大学院 理工学研究科 知能機械工学コース
博士前期課程1年
仲河 翔平

 今年の9月末,学内のグローカル育成事業で米国のミネソタ州ミネアポリスおよびセントポールを訪れた.グローカル育成事業とは,地元志向の国際的な人材育成に向けた取り組みであり,我々のグループは海外の医療機器や最先端技術などの調査と体験を通じ,医用機器開発に着目した地域貢献を目指している,今年で3回を数える事業だ.学部の頃からこの事業には関心があり,実際に先輩方の発表や体験談なども伺い,気持ちを高ぶらせていた.このグローカル育成事業はおよそ1週間の日程で,メインは全米最大規模の医療機器展示会およびミネソタ大学におけるMDC(Medical Device Center)の見学および大学院生との医用計測実験である.

 MD&Mに関しては,実際に医療機器会社の方による機器の説明や臨床現場での実用例紹介などが行われており,とても活気にあふれていた.私は,実験の解析等でお世話になっているANSYS Inc.のブースで,実際に3Dプリンタで作製された造形物をその場で解析して見せていただいた.他にも,動脈壁の影響を加味した医用デバイスなども興味を持って聞くことができた.よく耳にする大手企業のみならず中小企業の方からも,自社だけの強みを積極的に説明していただけたので,今後の研究や就職活動に関してとても良い刺激になった.

 そして,ミネソタ大学のMDCでの体験はとても貴重なものであった.初日はMDCの研究室訪問で,施設には数多くの医用計測機器または関連機器が多くあり,また部屋の壁は黒板のように直接書くことができるようになっており,研究者間のディスカッションを行えるスペースも多く確保されていたので思わず目を見張った.医用計測実験では筋電位測定実験と動作解析実験,床反力測定実験をさせていただいた.どれも馴染みのある実験で,先方の大学院生には私自身の拙い英語にもかかわらず親身に対応していただき,意見交換できたことに感謝しかない.データも信用に値するものをとらせていただいたので,とても良い経験だった.

 今回同行した同期や後輩は海外へ行くこと自体初めての人も多かったが,ひどい事故や怪我などなく無事に終えることができた.また,休日には科学博物館や現地のイベントに参加するなど充実した時間を過ごすことができた.このような充実した医療機器研究環境での体験を地域貢献はもちろん,今後の研究活動や就職活動において活かしていきたいと思う.

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