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動力研究部FTW

八戸工業大学 工学部 機械情報技術学科 3年
中村 太郎

 毎年,日本では電気自動車(EV)による省燃費競技大会が開催されている.その一つに,スポーツランドSUGOで開催される「電気自動車エコラン競技大会 in SUGO」がある.本競技大会の特徴としては,コースの一部に勾配が10%の坂があることが挙げられる.この坂を上りきるために様々な工夫を凝らすのが,この大会の面白いところだと私は考える.

 私が部長を務めている大学サークル「動力研究部」では,このEVエコラン競技大会で使用するモータの研究を昨年度に行った.研究資金は「学生チャレンジプロジェクト」という,大学が資金を提供して学生が自由な研究を行える企画に応募し,採択されたことで獲得できた.

 研究内容は,株式会社MITSUBAから販売されている「ブラシレスモーター製作キット」を使い,このモータの改良方法の検討と実施,その効果の測定を行うことである.構成する部品(FETやマグネットワイヤの直径やその巻き数)を変更したモータをトルク測定器で計測し,性能曲線を作る.大会では勾配10%の坂を,100kg(マシン重量とドライバー含む)の車体を10km/h以上で登反することを目的にしているため,モータは大入力に耐えられるものを製作する必要がある.しかし,大入力化と共に発生させるトルクは小さくなるため,このバランスが最も優れている点を模索していく.研究活動として実験装置を使用し,測定されたデータをグラフ化していく活動は,これからの卒業研究の予行演習のような感覚で,非常に勉強になった.

 そして完成したモータ用のギアボックスを設計・製作した.このギアボックス製作に必要な資金は部費から出した.ギア比の算出は,私が所属する学科の流体力学を担当する先生に指導していただきながら行った.講義で学んだ公式を用いて数値を出していくのは非常に興奮する作業であり,いかにも研究をしているといった雰囲気であった.このギア比を元に,できるだけ小型のギアボックスを設計していく.プラネタリギアとチェーン・スプロケットを用いて減速する方法が最も容易に小型化できると考えた我々は3DCADでの設計を通して,マシニングセンタで加工を行った.マシニングセンタ3級の技能検定を取得した私が初めて問題以外のプログラムを組んだのだが,加工は無事に終わった.切削油が噴き出す中,エンドミルが高速で動いていく姿に強い興奮を覚えた.この作業は本当に楽しかった.

 完成したモータとギアボックスを車体に取り付け,今年度の大会に参戦した.大会では大学の部優勝という結果を残すことができた.また,この研究で得られたデータは後輩や大学での研究の参考にしていきたい.




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