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「低温度差スターリングエンジンの製作をとおして」

東北学院大学 工学部 機械知能工学科 4年 齋藤 宗成

 近年,化石燃料の大量消費により地球温暖化やエネルギー問題が深刻となっている.そのような背景のもと,環境負荷を小さくできるスターリングエンジンが再び注目されている.スターリングエンジンの特徴として,太陽熱や地熱などの熱源の多様性,特に低温度差熱源で駆動可能という点が挙げられる.

 本研究では,カップ1杯のお湯と室温との温度差を利用して動く模型スターリングエンジンの設計・製作に挑戦した.低温度差スターリングエンジンの製作は大学の熱力学で学ぶ熱と仕事の関係の実践と言える.さらに低温度差スターリングエンジンが実用化されれば,エネルギー問題の解決にも繋がる.研究では,低温度差熱源による出力向上と長時間運転を目指した.低温度差スターリングエンジンの設計・製作において,摩擦損失などが課題として挙げられた.ディスプレーサシリンダ内の気密性の向上やクランクシャフトの回転モーメントを小さくするなどの工夫を加えた.製作では1年生の時に工作実習で学んだ工作機械を用いて加工したが,忘れていた工作機械の使い方を改めて学ぶことができた.

 完成したエンジンの1号機はうまく動かなかったが,試行錯誤を繰り返すことで初めてエンジンが動いたときの達成感は,今でも強く印象に残っている.設計・製作したスターリングエンジンは,教材用としてオープンキャンパス等で展示され,多くの人に見て頂いた.本研究では,たくさんの失敗も経験したが,そこから多くのことを学ぶことができた.

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