世代を越えて
東北学院大学大学院 工学研究科 機械工学専攻
博士前期課程2年 山本 信果
教授から本機関誌「電子コンパス」への執筆の依頼があってから,何を書こうかと考えた.私の文章力では到底,
「プロジェクトうどん」(2012年度・仙台高専・豊田さん)のような面白い文章は書けないと思い,機関誌「ComPass」
の成り立ちと,「電子コンパス」のこれまでとこれからについて書かせていただくことにした.
「ComPass」は1989年度に創刊号が発刊され,その後,2000年度にこれまでの「ComPass」のバックナンバーを含めた
電子化がなされ,今の「電子コンパス」に繋がっているとのことである.現在では,CD-Rでの配布も行っておらず完全に
電子化している.「ComPass」創刊の記念すべき年度である,1989年度は私が生まれた年度でもあり,本機関誌と私は
同い歳であるといえる.2000年度の電子化の際は,私の研究室の教授である小野先生が尽力なさったとのことで,今,
こうしてこの機関誌に文章を書かせていただいているというのも,面白い巡りあわせなのではないか,と思う.
本文章のタイトルは,2000年度に小野先生が「電子コンパス」に寄せた文章のタイトルを真似ていたりする.
さて,「ComPass」という名前の由来であるが,Communicate(相手に意思を伝える)とPass(言葉を交わす)の造語から
きているようだ.この文章を書いている現在は2013年であり,「ComPass」の創刊がなされた1989年度,電子化がなされ
た2000年度と,節目々々の位置にあり,また,当時の情報伝達における考え方と現在の考え方とでは変わってきている
部分が多々あるのではないかと思われる.電子化が行われた2000年度から,さらに情報化の波は激しくなり,現在ではス
マートフォンの登場やSNSなどのソーシャルメディアの発展に伴い,よりリアルタイムな情報伝達,情報の拡散の速さ
,不特定多数との情報共有などといった情報伝達手段の多様化した社会になってきている.
そんな中,この機関誌が途絶えることなく,世代を越えて続いているということは素晴らしいと私は思う.情報の伝達
手段はこれからも多種多様に変わっていくと思うが,それらはあくまで手段であり,本来の目的である情報の伝達,
交わす言葉というものはいつの時代も変わらない不変なものである.そういった根本を忘れないことが,情報化社会
を生きていく上で必要となってくるのではないだろうかと私は考えている.これからも,その時々の学生が世代を越
えて,自分の指針となるような「電子コンパス」を持ち続けてくれれば,と思う.
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