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自転車の魅力

山形大学

工学部 機械システム工学科 4年 海藤稜馬

  大学へ合格したとき,私はすぐさま自転車屋へとロードバイクを買いに行った.ツールドフランスという レースの映像を見たときに,アルプスの山々で競い合う選手達やそれに熱狂する観客の様子を見て,そのすべてに 憧れたからだ.これがあればどこへでも行けるとそう思った.行ったことのない場所へ行きたいという冒険心や自 由そしてスピード,スリル等々自分が望むものの全てを満たしてくれた.そしてレースで勝つために,勉強などそ っちのけで自転車に乗る日々が続き,とにかく夢中になって夏は蔵王などの山々,冬は仙台から福島の海外線沿いを 走っていた.

 自転車ロードレースは主に公道を利用して30~200キロの距離を,100人〜200人が一斉にスタートして1位を争う. レースの速度は平均で40km/h,下りでは80km/hになることもある.その速度域では空気抵抗も大きくなるため, 基本的には風を受けて無駄なエネルギーを消耗しないように選手同士が集団を形成してレースは進行する.しか しレースに勝つには,その集団内から抜け出す強さや,登りで敵を引き離す力,また集団でのゴールとなった際の スプリント力などが求められる.またレースでは密集度の高い集団のまま細い道を走ったり,テクニカルな下りの あるコースでも選手は我先にと勢いよく走っていく.そのため他選手との接触やスリップなどによる転倒で骨折等 の怪我がよく起こる危険な競技である.それも含めて,私にとってはとても魅力的なスポーツであった.

 この競技はマイナースポーツであるから,レースに出場するために全国各地へ行かなければならない.それはそれ で,知らない土地に行けるのが楽しみとなる.特に印象的だったのが富士山の五合目まで駆け上がるというレース. 最大勾配20%超というあり得ないほど急な坂であった.その地点で大勢の他の選手に抜かされてみじめな気持ちを味 わったが,今では忘れられない思い出である.

 自転車はレース以外にもツーリングであったり,身近なところでは通勤・通学でも楽しめるものである.自分は 所属していた大学のサイクリングクラブを通じて,炊事道具とテントを自転車に積んで一週間北海道に旅行をしたり ,マウンテンバイクで道すらない山奥を走ったりもした.こんなふうに遊び方はたくさんあって,体を動かすことが 好きな人や,自由に旅をしたいという人にはうってつけのツールだと思う.少しでも自転車の魅力が伝えられたので あれば幸いです.


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