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五感を感じる旅

東北大学

古屋亮輔

  私は大学に入学したとき,通学手段として原付を買ってもらった.それまで,乗り物は自転車しか乗ったこと がなく,初めて原付に乗るということでとてもワクワクしていた.しかし,入学して原付の運転に慣れてきたころから ,坂道などで排気量の大きいバイクに抜かれるのがとても悔しく感じるようになってきた.それと同時に,排気量の大 きなバイクに魅かれるようになっていった.その後,バイトをしてお金を貯め,約1年後バイクを購入した.幸い機械系 なので,バイクを持っている友人がたくさんいた.そのため,バイク購入1週間後に初ツーリングを経験した.

 冬を除き,長期休暇には友人とツーリングに出掛ける.仙台から日帰りで行くことのできる山形へのツーリングが一 番数が多い.また,9月は大学生くらいしか長期休暇になっていないため,有名な観光地に混雑なく行くことができた. その一例として,9月に蔵王エコーラインの「お釜」に行った.しかし,バイクでのツーリングは楽しいことばかりでは ない.今までで一番過酷なツーリングは,気仙沼までの片道150kmの日帰りのツーリングだ.3月末だから暖かいだろうと 甘く見ていたが,道中の気温計で4℃であった.海から吹く風がとても強く,体感気温がものすごく低かった.休憩のた めに友人とコンビニに入っても言葉を交わすことはなく,ただ黙って温まっていたという過酷な記憶だけが残っている.

 雪が降らなければ真冬でも私はバイクに乗る.私がバイクに乗り続ける理由は,直接自分の五感でその場所をより 強く味わうことができるからであろう.匂い,気温,音は,車で出掛けるよりも,バイクで出掛けたほうがより強く 味わうことができる.私はこれが,好きなのだ.バイクは誰にでもすぐに乗れるわけではない(免許が必要).しかし, 五感をより強く感じるために,車を運転するときには,思い切って窓を全開にして,匂い,気温,音,これらを楽しん でみるのもいいかもしれない.



図 お釜にて


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