あきらめない心
秋田大学
工学資源学部 機械工学科 荒内 信匡
私は小さいころから車や電車といった乗り物が好きで、整備士になりたいと思い機械工学科に入学した。
この学科で機械の知識を吸収して整備士になってやると意気込み、当然ともいえる講義の出席、課題の提出に力を
入れていた。
大学3年になり自分の将来のことを深く考えていたら、いつしか地元に戻って地域のために力を尽くしたいという思い
に変わっていた。大学生協で公務員講座というものが開講されていたので申し込み、9ヵ月間に及ぶ講義を受け続け、
大学での授業や食事、睡眠時以外はそのすべてを公務員試験の勉強に費やすという生活を続けた。
1日10時間を目標に勉強していて何度も心が折れそうになった。息抜きに遊ぼうと思っても
「今こんなことをしていていいのか」という気持ちになってしまい、遊んでいても勉強のことがまとわりついて
全く楽しめなかった。
大学4年になり、公務員試験シーズンが始まった。かなりの数の併願受験をしていたのでどこか受かるだろうと
思っていたが、それほど公務員の世界は甘くなかった。もともと公務員と民間企業の併願は試験対策がどちらも
中途半端になるからやめたほうがいいと指導されていたため、民間企業で1社だけ受験してみたかった会社が
あったのだがスルーしていた。公務員の第一志望のところに落ちた瞬間「どうせ第一志望に行けないならやっぱり
あの会社受験しておけばよかった」と後悔した。それでも最後の可能性を信じて公務員の勉強を続けた。
季節は秋になり、民間企業を受験した周りの友達はすでに就職が決まっていた。うらやましさと就職が
決まっていない自分への苛立ちが入りまじり、相当なストレスを抱えていた。「あんなに勉強したのに・・・」と
落ち込みながら来年再挑戦しようかと思っていた時、偶然ある会社の秋採用の掲示を見つけた。
それは1社だけ受験しようと思っていたあの会社だった。「これは何かの縁かも」と思い、すぐに応募した。
学力試験と面接があったのだが、いずれも公務員試験対策で積み重ねてきたことで対応できた。
その結果合格をいただき、就職活動を終えることができた。
これが私の就職活動のすべてである。就職活動を振り返ってみて一つ胸を張って言えることがあった。
それは「あきらめなかった」ことである。公務員試験で結果が出ない日々が続き、落ち込むことばかりだった。
それでも可能性を信じて、最後まで勉強をやめることはしなかった。その結果民間企業で一番行きたかった会社に
就職でき、私はこの結果に満足している。あきらめずに努力し続ければ、最後の最後に何かが起こると感じた。
努力し続けるということは決して簡単ではないが、こうして経験したことをこれからの人生に生かしていきたいと思った。
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