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環境

一関工業高等専門学校

機械工学科5年 似田貝 亮介

  高専という学校で工学を専攻したことは、私にとって最も良い進路だったと思います。
  私が高専を選んだ理由は、本来なら高校生である年齢でも大規模なロボットコンテスト(高専ロボコン)に参加できる、というシンプルなものでした。もともとロボットには興味があった上、ロボコンに出場するロボットを作れる=テレビに映れるかも知れないという単純な構図は、中学生の私にとってとても魅力的なものでした。
  しかし実際のロボット製作活動は、私が思っていたよりもずっと難しいものに感じられました。
  ロボコンの活動は一人で行うものではありません。仲間全員で一つの目標に向かって努力できたとき、自分たちの最高の力が発揮できるというのは、誰しも承知のことです。もちろん私もわかっていたつもりですが、いざ活動してみると上手くいかないことはたくさんありました。言葉では上手く言い表せない、「人と働く難しさ」を社会に出る前に体験できた私は、そこに参加した価値を見出すことができました。
  そのなかでわかったことは、いくらロボット・機械とはいえ、それを作るのは人間であり、その人間がしっかりしていなくては、いいロボットはできない、ということです。人から言われてもぴんと来ないこの教えは、大抵の高専生が味わうことのできない貴重な体験を通して身につきました。いまだにいいロボットを作る自信が持てずにいる私は、5年間かけて自分自身の成長を願ってやまない人間になりました。
  「これからのエンジニアはコミュニケーション能力が問われる」
  このような言葉を先生方から聞く機会が、幾度となくありました。
  私は身をもってこれを体験したので、今この能力を磨き、将来はコミュニケーション能力を武器にできるといいと思っています。
  高専にきて勉強したのは機械工学じゃないのか、と言われるかもしれません。しかし私は、機械工学を学ぶこと自体が好きで、その中からさらに得られたすばらしい産物である「コミュニケーション能力を磨け」という教えこそが、世の中に通じるものだと今では信じています。
  話は変わりますが、私は機械工学と同じくらい、英語の勉強が好きです。なのでこれら二つの勉強は、特に意識をしなくてもできるものだと思っていました。しかしながら明確な目的を持たずに挑むと上手くいきませんでした。
  ところがコミュニケーションに重点を置くようになると、不思議なもので、好きなことは好きなだけ勉強できるようになりました。おそらく自分の感情や考えに気を配るようになったため、自分をコントロールするのが上手くなったのでしょう。
  大抵の人が、どのような過程をたどって成長するのかは分かりませんし、先生方から見れば、私が自分の成長と思っていることなどたかが知れているでしょう。しかし私は学校での勉強を通して、初めて、学問以外の何かも大切であり、社会に出るための前準備がどのようなものかが分かり始めた感覚を味わえています。
  この感覚を味わわせてくれた環境に、この場を借りて感謝したいと思います。
  高校+専門学校という制度が始まってからすでに半世紀たち、時代とともに少しずつその形を変えてきた高専ですが、今後も高い志を保って存続していってほしいと願ってやみません。

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