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とある東北人の学生生活

弘前大学大学院

理工学研究科 知能機械システム工学専攻 2年 目時 匠

  私の経歴を簡単に紹介すると,まず中学校卒業後に親元(地元)を離れて,高専へと進学しました.そして高専卒業後は弘前大学3年次へ編入し,そのまま大学院へ進み現在に至ります.これを聞いただけでは「無難にいっているじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが,やはりその過程は決して楽なものではなく,悔し涙と苦労の連続であったと自ら思い返します.
  例えば,高専での5年間については,ただひたすら勉強に打ち込んでいた記憶があります.高専のカリキュラムはかなり膨大かつ過密で,多くの授業・実習をこなさなければならない上に,毎週のように多くのレポート課題が出されます.さらに私は学生寮で生活していましたが,寮にも厳しい規律・上下関係が存在し,ついでに部活動には絶対入部という規律が存在しており,ある意味軍隊のような?(笑),生活を5年間送っていました.研究生活を経験したのは5年生の1年間でしたが,これまた授業後に研究が授業として組み込まれているために自由度が少なく,当然のことながら十分に時間を割けないまま終了します.後はプライベートや休みを削ってやるしか課題と研究,部活動を両立する手段がありません.加えて考査も定期的にありますから,「一体いつ休めばいいんだ?」といった感じで1日が終わっていきます.そのため,しっかり自己管理をして研究・課題をこなしていかないと,納得のいく成果や時間的余裕などは得ることができませんでした.そんな生活を多感な時期に経験したおかげか,卒業する時には人並み以上の忍耐力と体力は自然と身についており,常に「自分に厳しく」という意識を持って生活することができるようになっていました.
  大学に入ってからは,高専で培ったその能力を十分に発揮できる研究室と環境,そして先生たちに恵まれ,文武の両立をすることができるようになったと思います.また,高専よりも研究における時間の自由度が増したので,毎日遅くまで様々な実験を行い,自分のテーマである不活性ガスを充填したシャボン玉によって火炎を消火するという研究を時間かけて進めていくことができたと思います.勿論,自分の知らないこともまだまだ多く,先生と研究結果や方向性の議論をするたびに,知識不足と思慮不足,応用力の無さ,研究姿勢等々自分の未熟さを改めて言われて,落ち込むことも度々ありました.
  しかし,研究室の先輩や同僚,そして後輩など多くの人達に励まされながら,これまでなんとか腐らずに研究を進めていくことができました.そうした苦労の甲斐もあってか,1年の間に参加できる多くの学会で発表することができ,他の研究者からの意見やアドバイスを頂いたり,色々な先生たちと交流したりと,業績だけではない,将来自分の糧となるような貴重な経験を数多くすることができました.また,昨年の春に参加した火災学会では,なんと学生奨励賞に選ばれ,賞状を頂くことができました.予想もしなかった結果に驚くばかりです.だいたい,学会からの受賞の通知が電話のみだったので,通知内容がにわかには信用できず正直「何かの嫌がらせなのか?」と疑った程です.その後,本当に賞状が届き,今では実家に飾って両親に自慢しています.
  「若いころの苦労は買ってでもしろ」という言葉がありますが,まさに今の私があるのは,学生生活で色々と苦労したおかげであると言えるのではないでしょうか.そして,その学生生活もいよいよあと残り2ヶ月となり,卒業というゴールが見えてきました.これまで進めてきた研究成果をしっかりとまとめ,「自分はこれだけやったんだ」と言える集大成を作って,無事に卒業していきたいと思います.最後になりますが,私に色々な知識を与え,導いれくれた先生方,そして私に関わってくれた全ての人達に深く感謝したいと思います.

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