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遺伝的アルゴリズムの研究をとおして

鶴岡工業高等専門学校 機械工学科5年 鈴木 真

  遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithms:GA)について何も知らない状態から卒業研究は始まった。アルゴリズムという、"目には見えないもの"を相手にするのは、機械工学科としては、とても珍しいと思う。僕がこの研究を選んだ理由も、「機械工学科=ものづくり」という枠組みに当てはまらない、異色の存在だったからだ。

  GAとは、生物の進化を工学的にモデル化し、また参考にした学習的アルゴリズムである。詳しくはここで説明をしないが、知りたい方はインターネットで「GA」と検索をして欲しい。本当にたくさんの検索結果が表示される。

  研究が本格的に始動し、プログラム製作にとりかかっていくと、いくつもの壁がたちふさがった。まずひとつは「知識不足」である。プログラムに使ったのはC言語であったが、GAもC言語も"ド素人"だった僕にとっては、毎日が勉強の日々であった。情報検索をし、知っている友達に聞いてばかりいた。そのうち、知識と知識がつながっていく感じがした。この前知った情報が、今知った情報とつながることで、自分の中にGAが浸透していくようであった。まるで、自転車を初めて乗れるようになったときのような感覚で、よちよちではあったが、研究を進めることができた。

  ふたつ目は「目に見えないものへの不安」であった。自分のプログラムを動かし、解を求めていっても、本当にその解があっているかどうかは分からない。材料やロボットのように目に見えるものは「感覚」を使い、ある程度の予想ができる。機械系は特に、具体的な"もの"を対象にすることが多いが、アルゴリズムは自分の頭の中にしか実体が無く、形として表現することが難しい。プログラムを検証すればするほど、間違いが見つかり、検証→修正→検証→・・・とまるで無限ループのようであった。ただ、この過程が僕のプログラム、アルゴリズムに対するスキルを高めてくれたことは間違いない。「失敗は成功の母」の言葉どおり、ひとつの間違いが、僕のレベルをひとつずつ高めてくれた。

  以上の壁を乗り越え、卒業研究も終わりを迎えようとしている。全く知らないものへの挑戦が、自分を大きくしてくれたことは間違いない。これからも、チャンスを見つけたら、分野に関わらず挑戦をしていくつもりだ。

  21世紀は、誰もがネットを通し、情報を簡単に手に入れられる時代です。そんな時代だからこそ、専門家はその専門のエキスパートでなければなりません。僕も、はやく自分の専門分野の確立をし、その分野の第一人者と呼ばれるようにならなければならない。そして、他分野への広がりを持ち、複数の専門家が自分の中にいるような状態を目標に、日々精進していこうと思います。

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