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入試過誤

山形大学工学部 機械システム工学科 4年   佐々木 章仁

 平成13年5月,とてつもない重大事件が起きました.タイトルからも分かる通り、工学部入学者選抜試験における合否判定過誤、いわゆる入試過誤です.今さらと思う読者もいらっしゃると思いますが、私の中では、忘れることのできない出来事ですのでこのテーマを選びました.

 その当時、私は大学2年生になったばかりで、入試から1年以上の月日が経ち、入試に落ちた悔しさも忘れていました.私は、ニュースを通して入試過誤について知り,まさか自分は…と思っていた矢先に山形大学工学部から速達書類が届きました.それは、合格通知表とお詫び状の2枚の書類でした.その後は、いくつもの書類が送られてきました.最初は、大学に対する怒りがわいてきましたが、次第にその感情も消え、今後の選択をしなければならないことに気付きました.

 第一志望の大学に合格していたのだから行くべきだと思える反面、これまで培ってきたものを棒に振る価値があるのかと、自分一人で悩みました.そんな時、当時の大学の先生や友人に相談にのっていただき、いくつかのアドバイスを貰いながら,山形大学に転入学することを決意しました.

 転入学後は,想像以上に大変なものでしたが、山形大学のアドバイザー教官の先生に,以前の大学で取得した単位の変換作業や今後取得する単位の予定、生活面の相談にのっていただきました.

 今だからこそ言えるのですが,その当時,山形大学を選択していなければ,今日の私はないわけです.もし違う選択をしていたら…と考える時もありますが,後悔はしていません.結局、どちらを選んだにせよ,私の努力次第でどうにでもなるわけですから.

 入試過誤は決してあってはならないものだと思いますが,私に限っては、友人を持つことの大切さ,新しい領域に前向きに挑戦すること、多くを学ぶきかっけになりました.また,私と同じように転入学してきた学生と親しむことで、自分とは違った見解に触れることができたことは大きな収穫でした.今後の私の人生において、進学・就職と幾多の試練がありますが、必ずこの経験が役に立つと思います.

 最後に,この場をお借りして、相談にのっていただきました先生,友人に深く謝意を表します.

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