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ソーラーカーラリーに参加して

鶴岡工業高等専門学校 機械工学5年 渡部 雄三

 五年生になって最初に決めた卒業研究のテーマは「風車の過回転防止装置の改善」だった。ある日担当教官に呼ばれて「ソーラーカーの製作、走行試験」に手伝いにまわることになった。忙しいとは以前から聞いていたが、現実は想像を遥かに超えていた。

 メンバーは皆特に車や機械に強い訳でも無く、極普通の高専生といった感じの人達で構成されていた。知識もなにも持たずに挑戦することはそれだけで神経を使った。慣れない作業に苛ついた。そういえば面倒くさくて帰ったこともあった。でもそれも最初だけだ。工場の人達と会話が弾むようになる頃にはドリルの使い方も大分上手くなっていた。もう四時頃に帰る人達を尻目に七時までなんて平気だった。そして知らないうちに正式なソーラーカーのメンバーになっていたのもこの時期だった。

 夏休みに入ってからも卒研の忙しさは相変わらずだった。形は出来上がってもやることは多く、ついに一日の休みも無く大会の日が近づいてきた。今年度も鶴岡高専が出場したのはSolar car Larry in Akitaで、例年のように秋田県の大潟村という会場となる所に一週間位前から行って準備を始めた。バッテリーの調子が悪かったりMPPTという装置がちゃんと動かなかったりといったトラブルもいくつかあった。秋田にいる間はテントでのキャンプ生活だった。毎晩温泉に入りに行ったりして思ったより快適だった。

 大会中は曇天のため思うように成績を伸ばすことができなかった。バッテリーの残量が無くなってきたため時速15kmで走らなくては行けない時なんかは本当に退屈だった。結果はといえば9チーム中6位。いいのか悪いのかも分からないまま大会は終わった。

 

 結局何が言いたいかというと、最終的には良い経験になったなぁということだ。よく考えてみると鶴岡高専に入って大会と名のつくものに出たのは初めてだったように思う。何かのきっかけになったとか、そんな大きなものではないけれど、忙しく生きるのも楽しいと思えるようになった。

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