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〜技術者倫理〜

国立一関工業高等専門学校 専攻科 生産工学専攻1年 川島 和恭

 私は今年3月に宮城高専本科を卒業し,4月に一関高専専攻科に入学しました.入学してから半年以上経ちましたが,現在専攻科の中で術者倫理という科目を履修しています.

 授業内容は,先ず担当教官が過去に倒産した会社について,その原因となった事件,又,何故倒産してしまったのか,その時その会社の技術者がとった行動や判断等を詳しく説明し,学生がそれを基にその時技術者のした判断が正しかったのかどうかという事を自分の考えとして考察するというものです.

 この科目は学生に社会的,又現実的な問題を考えさせる事を目的とするものですので,従ってはっきりと決まっている「答え(是か非か)」というものが存在しません.そして,この科目の評価は,学生の判断が正しいかどうかではなく,その結論に至るまでにどれだけ深いところから考察しているか,例えばその事件に関わった人々(技術者や責任者)の社会的立場や社会的権利,又は社会的義務等をどれだけ深く調べた上で結論に至っているかです.

 内容についてですが,倒産する会社の原因として最も多いものは,消費者等社会全体からの信用をなくしてしまう事です.無理もありません,人の命よりも会社の利益を考える訳ですから.又,技術者は上司の言う事に従って嘘やミスを隠そうとせざるを得ません,それに従わなければ,仕事を失い家族を養う事が出来なくなる訳ですから.しかし,私はそういった社会の仕組みについては,経験が浅い為まだよくは分かりませんが,どうしても納得が出来ないのです.

 企業間の地球規模での生存競争がし烈を極める現代において,経営上,損益を考えると会社に1円でも多く利益をもたらす選択をするのは当たり前の事だしそうしないと使ってもらえないので,損益だけを考えると会社の判断は妥当だと思います.製品の性能や使いやすさ,或いは省エネや環境問題等,これらは常に技術者に期待される問題です.どんなものでも見た目を良くしながらこれらの課題を同時に満足させる事は技術者にとって拷問の様なものでしょう.しかし,人の命に関わる問題に関していうと妥協は許されないと思います.

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