草刈り十字軍活動に参加して
山形大学大学院理工学研究科 博士前期課程機械工学専攻一年 片山 喜晴 東北の豪雪地帯、山形県の南部に位置する上杉家の城下町として栄えた米沢市、米沢牛や鯉、りんごなどで有名なこの地に私達が通う山形大学工学部があります。ここ米沢に住んでもう4年一人暮らしにも慣れ学校生活にも慣れた2001年の夏、日頃の不摂生がたたり体調を崩し一ヶ月近くの闘病生活を強いられた。闘病生活の中、日頃のだらしない自分に嫌気がさしてある活動への参加を思い付いた。以前から興味はあったが想像を超える厳しい作業と聞いていたので一歩足を踏み出せなかった。その活動とは、富山県でおよそ30年間続く『草刈り十字軍』活動である。富山県の杉林への農薬散布による除草に反対した富山県の足立原先生が中心となり本学の農学部の元教授桑原先生などによって全国の若者が大鎌を振りかざして下草刈り作業をしたのが発端の活動で御存じの方も多いと思います。現在は人員不足の解消や草刈り地の減少でかつてのような深刻な状況ではなくなった。しかし発足者の足立原先生の「教育の城は山に築け」という考えのもと、多くの協力者や協会の働きかけで、現在では土に触れた事のない若者や活動の最盛期に仕事などの都合で参加できなかった中高年の方など老若男女が集い、厳しい環境の中で普段の職種、肩書き一切関係なく平等に同じ作業を炎天下の中で行うようになってきた。参加目的も私のように自己鍛練、自己啓発の場としてくる者など様々です。私の参加した隊は、隊長が10年以上連続参加している猛者で他には、下は16歳の高校生、上は60歳位の男性8名&女性2名の隊でその他に活動の応援にOBの筋肉モリモリの自衛隊員の方や森林組合の方などと共におよそ二週間の活動をしました。毎朝、毎晩、作業についての会議、環境問題の講議、活動の歴史などを学んだり各参加者の悩みや夢、生活などについてディスカッションし、規則正しい生活と怒られる事の少なくなってきた私に対し本気で怒ったり泣きながらアドバイスをしてくるまでに世代を超えた友人関係を築いた仲間との厳しくも充実したここでの生活は、毎日がかけがえのない勉強でした。教室や本からは得られない貴重な体験の連続でいろんな事を考えさせられました。そして、あっという間に終わりました。忙しさや便利な現代社会ではなかなか体験できないこの活動に参加できて良かったです。わがままばかり言っていた自分でしたが、ありがとうやごめんなさいを素直に言えるようになりました。私はこの夏一生懸命、草刈りました。一生懸命、泣きました。一生懸命、笑いました。草刈りの活動と同様に、今一歩足を踏み出せなかった事も一生懸命やろうと思います。 |