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内モンゴルについて

秋田大学大学院鉱山学研究科機械工学専攻

博士前期課程1年 雲 暁勇(ウン ギョウユウ)

 

 日本に来てからずっと日本の人達に私の故郷、内モンゴルについてもっと知って欲しいと思っていました。今回はチャンスなので、内モンゴルの民族習慣と気候風土などを紹介します。

 “センベナウー”これは新しい外来語ではありません。モンゴル語の“こんにちは”というあいさつです。地図を広げると中国の北部に日本の約三倍弱の面積を持つ高原地帯が延々と広がっている……その名は内モンゴルと呼ばれています。内モンゴルは中国の一部で五つの自治区の一つです。そこで生まれて、私は最初日本に来たとき出身地を聞かれて“内モンゴル”と答えたら、相手は必ずとも言えるほど“内モンゴルですね、あんた、モンゴル斑があるでしょ”と聞き返します。今でも日本人の中には自分の先祖がモンゴルからやって来たと信じている人もいるようです。多分、このような広大な草原は日本人の心の裏に一つのノスタルジアとして存在しているのではないでしょうか。

 ここでふるさと内モンゴルの今の姿を紹介しましょう。

天蒼々、野茫々、風吹、現牛羊

 これは昔から内モンゴルで伝われる民謡の一節で、広々とした草原大地の様子を表しています。従来、内モンゴルに住む人々は季節ごとに草原で移動する遊牧生活を送っていました。今は定住が進んでいて遊牧生活はすっかり見られなくなりました。草原でバイク、車を走らせ、羊、馬を追かけているのが現在の風景となりつつあります。広い草原の中にある人家を訪ねれば、おなかを空かせるようなことはありません。これは草原の牧民の素朴な人情です。

 長い冬が終わると短い春は駆け足で去っていき、そして草原の一番いい季節―夏が訪れます。“ナダム”、この祭りは毎年行われます。ほかにもいろんな伝統行事があり、運がよければ残り少ないモンゴル包(ゲル)に一泊できます。目の前で人々が火を囲み、丸焼き羊やしゃぶしゃぶを食べながら馬頭琴(ばとうきん)を聴いたり、そのうえモンゴルの踊りも覚えたりします。のどが乾いたら馬乳酒があります。牧民たち自家製の馬の乳を原料として作られたお酒です。乳でお酒を作るなんてみなさんは想像できますか。独特な味で飲んだあとで頭にガンガンきますよ。みなさんも一度試してください。

 内モンゴルの主な景色は草原ですが、広大な砂漠もあります。荒涼で水も命もないと思われますが夕方の金色に染められた砂漠には馬や羊が現れてきます。内モンゴルの首府フホホト市から西250キロのところに不思議な砂丘があります。上から滑るとロンロンとした音がして、名前も響砂丘といいます。私は内モンゴルにいるとき、海を見たことがありませんでした。一番近い海でも車で何日間もかかるのですから。でも、日本に来てはじめて松島の海辺に立って海を見渡したときは“水の草原“という思いが胸に込み上げてきてたいへん感動しました。もし、誰かチャンスがあれば広い大地―内モンゴルの草原に足を運んで、草原の深くまでで歩いて行って“草原の海”を感じてみませんか?

 それ以外にもまだまだいろいろなことがありますので、みなさん、是非一度内モンゴルを訪ねてください。






内モンゴル:
面積 :約110万km2
人口 :2178万人、中に内モンゴル人は約250万人。
気候 :大陸性気候、北部ではマイナス40℃ぐらい、冬の期間6ヶ月に及ぶ。
     夏は短く気温も35℃に達するが夜間は急速に低下する。
鉱産物 :石炭、鉄、塩など


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