流体研究室の紹介
八戸工業大学大学院 工学研究科 機械システム工学専攻 博士前期課程1年 佐々木 孝行 これから、私の所属している研究室の紹介をしたいと思います。その前に私がこの研究室に入った理由について話そうと思います。3年の冬に、研究室配属希望のアンケートがありました。最初は、違う研究室に入ろうと考えていました。でも、小さい頃から自動車レースに興味があったため「風洞」という2文字につられ・・・この研究室を第1希望にして提出しました。その結果、見事に(?)この流体研究室に入ることができました。自分のことに関してはこれくらいにしておいて、教授の手となり足となって、学部生7人+院生3人が日々研究していますが、学部生の研究テーマについて説明します。 1.振動円柱周りのキャビテーション流れに関する実験的研究(高速度ビデオカメラによる流れの画像解析) 近年、技術のめざましい進歩とともに各種流体機器が高速化・高性能化する一方、経済的な立場から小型化し、キャビテーションの発生し易い状況へと進展しています。特に高速液流中に置かれた物体まわりには、一般にキャビテーションが発生する場合が多く、キャビテーションは騒音や振動を伴い、壊食などによる流体機器の損傷・性能向上を阻む大きな要因となっています。以上の観点から、個々の振動円柱で変動流れ模様の違いを明らかにすると共に、支持円柱のサイズ変更による変動状況の違いを解析・検討する事を目的としています。さらに、キャビテーション流れ模様を撮影するため、瞬間現象高速デジタル解析システムを用い実験を行って、得られたデータをデジタル処理すると共に、その変動流れ模様、空洞長さ、空洞面積の変動状況を比較しています。 2.高速水流中における直列二円柱周りのキャビテーションの流れ(流れの可視化に関する解析) 私もこのテーマに関係のある研究をしています。振動円柱と内容はほぼ同じですが、大きな違いは、テーマ名からも分かるように円柱が1本から2本になったことです。4種類の円柱間隔において、上・下流側円柱で発生したキャビテーションが互いにどのような影響を与えているかを検討しています。具体的には、振動円柱と同様に高速度デジタルビデオカメラで撮影したデータから、ストローハル数、渦流れの速度ベクトル、空洞長さ、空洞面積、パワースペクトルを求めて比較・検討しています。 3.翼端の空力特性に関する実験的研究(流体力の計測と流れの可視化) 航空流通産業においては船舶流通に対抗して、物資の大量輸送およびコストダウンが進められています。翼を大型化せず、多くの揚力を得るために垂直翼端板を装着し、翼端渦を抑えることを目的としています。そのために風洞装置を用いて、翼の模型に形状の異なる翼端板を装着し、それぞれの揚・抗力を比較検討し最適な形状を明らかにしています。また風洞実験について深く理解するために、測定部におけるセンサーをひずみゲージを利用して自作しました。さらに揚・抗力の算出を効率的に行えるようにひずみゲージからの電気信号を、A/D変換PCカードを用いて直接PCへ入力できるシステムを開発しました。 4.視覚障害者用障害物認識装置の基礎的研究 視覚情報を他の感覚器、他の正常に機能している聴覚や、触覚に伝達させる事を目的と した視覚代行システムについて研究しており、盲導犬と白杖の欠点を補う事のできる機械である視覚代行装置を実用的な目的としています。視覚情報の代表的なものには、文字を伝える、図形やパターンを伝える、視環境情報を伝えるものなどがあり、情報は多岐にわたります。本テーマは、視覚情報環境を伝えることに焦点を絞り、音響計測におけるセンシングシステムを利用して目の代わりにセンサを使い、環境を認識させる事を目指しています。そのため音波・超音波、赤外線センサなどを使用した複合センサに着目し、その第一歩として超音波センサに焦点を絞り、超音波の特性を調べています。 以上、4つのテーマについて述べてきました。「流体」という、意外と身近にあるものに関する研究であるため、簡単だと思われがちですが、相手に流れの様子を理解してもらうのはとても難しいと実感しております。 学内の研究発表と学会発表が間近に迫っているので、気を引き締めてこれから研究していきたいと思います。 |
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